キャスターの辛坊治郎が10月20日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ロシアのプーチン大統領が、一方的に併合を宣言したウクライナの東・南部4州で戒厳令を導入する大統領令に署名したことについて、「自国領になったことを強烈にアピールする手段。それだけプーチン大統領は追い詰められている」と指摘した。
ロシアのプーチン大統領は19日、一方的に併合を宣言したウクライナの4つの州で戒厳令を導入する大統領令に署名した。ロシアはウクライナ軍の反転攻勢で4州の占領地域を奪われる展開が続いており、軍による統制を強めると見られている。
辛坊)そもそも戒厳令とは何か-。簡単にいうと、戒厳令が敷かれると憲法、法律で認められている、その国の権利などさまざまなものが制限されることになります。なおかつ、国は軍隊によって動かされることになります。ですから、ロシアによる今回の戒厳令の意味は、この4州では民主主義に基づく政治は行わず、軍隊主導で統治するという宣言であるわけです。
それにしても無茶苦茶です。勝手に他人の国を奪っておいて、そこに戒厳令を敷くなんて。「他人の国に勝手に戒厳令を敷くな」と言いたくなります。しかし、ロシアからすると「4州はロシア領になったのだから、ロシアの法と制度に基づいて戒厳令を敷く」という理屈になるわけです。つまり、4州がロシア領になったということをより強烈にアピールするための手段にしているのです。逆にいえば、それだけロシアは追い詰められているとみることができます。
親ロシア派勢力が、4州の1つであるヘルソン州の住民をロシア国内に避難させると発表したようですが、それは避難ではなく拉致ですよね。本当に無茶苦茶なことをしています。ヘルソン州などに対しては現在、ウクライナが大攻勢をかけていて、ロシアが4州の併合を維持するのは難しいのではないかという観測も出てきています。そうした状況下での戒厳令ですから、やはりロシアが追い詰められていることを示す形になっているといえます。
問題は、どのタイミングでアメリカがウクライナに対する武器の供与をやめるのかということです。ウクライナが4州を取り返したうえで、2014年にロシアに奪われたクリミア半島まで取り返しにいこうとしたときに、アメリカがどう対応するかは不透明です。アメリカが武器の供与をやめたら、ウクライナは停戦せざるを得ません。ウクライナの生殺与奪はアメリカが握っているからです。ウクライナがクリミア半島まで取り返しにいけば、プーチン大統領が何をするか分からない状態になるという怖さはあります。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)