数量政策学者の高橋洋一が10月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。野田元総理による安倍元総理への追悼演説について解説した。
野田元総理による安倍元総理への「追悼演説」
-----
-----
立憲民主党の野田佳彦元総理大臣は10月25日の衆議院本会議で、参院選の応援演説中に銃撃され亡くなった自民党の安倍元総理に対する追悼演説を行った。
飯田)昭恵夫人が傍聴席で見守るなか、野田氏は安倍元総理に向けて「あなたの無念に思いを致せばこそ、私たちは言論の力を頼りに、不完全かも知れない民主主義を少しでもよりよきものへと鍛え続けていくしかない」と決意を語っていました。
高橋)全文を聞くといい演説ですよね。「勝ちっぱなしはないでしょう」というのは、安倍元総理の生前、選挙で民主党は全部負けてしまったので、「アッパレだ」ということを言っている感じはしましたね。
90年代の政治改革の「青雲の志」のようなものを思い出させるような演説
飯田)2012年の党首討論のなかで、当時総理だった野田さんが「解散する」と言い、野党・自民党総裁だった安倍さんがそれに答えるということがありましたが、「言葉と言葉の真剣勝負」と表現されていました。「二大政党制をつくるのだ」という意識のなかで丁々発止を行うという、90年代の政治改革における「青雲の志」のようなものを思い出させる演説でしたね。
高橋)安倍政権のときは、あまり丁々発止という感じではなかったですね。アベノミクスで攻めてくれば面白いなと思ったのですが、攻められなかった。
飯田)特に政権の後半は、というところでしょうか?
高橋)途中からそうです。アベノミクスによって、民主党時代と比べて雇用改善が確実になってしまったので、民主党としては攻めにくかったのだと思います。結果的に揚げ足取りの話しか出ず、政策論争はほとんどなかったように思いました。
飯田)その後は。
高橋)その結果、以降、民主党は選挙で負けてしまった。アベノミクスを破りたければ、「他に雇用で成果が上がるものを持ってくればよかったのに」と思いました。おそらく言えなかったのでしょうね。
礼賛のみではなく、「歴史の審判を常に受けるものだ」という指摘も
飯田)この演説は20分に渡り、礼賛のみではなく、「歴史の審判を常に受けるものだ」という指摘もありました。
高橋)歴史の審判は受けるものだと思いますが、雇用改善に関しては、安倍政権は歴代政権のなかでもトップの成績です。これについては難しいと思います。
飯田)演説そのものをいつ行うのか、ということについては紆余曲折がありました。最初は、夏の臨時国会で行うという話もありましたが、結局それもできませんでした。
高橋)なぜなのでしょうね。ただ、野田さんにやってもらってよかったのではないでしょうか。本当に言葉と言葉の政治家という感じがしました。
当時のような真剣勝負の党首討論も久しく開かれていない
飯田)演説が終わったあと、野田さんが昭恵さんのところに行かれて、演説原稿をお渡しになったというエピソードも紹介していました。
高橋)野田さんは、「選挙期間中にお腹が痛いと揶揄したのは申し訳なかった」と率直に言っていましたよね。立憲民主党の人などは、これを見てどう思うのでしょうか。野田さんは国葬にも参列しました。行くなら行って弔意を表した上で、野田さんのようにきちんと話せばいいのではないかと思うのですが。いまの立憲民主党の人に「野田さんの追悼演説をどう思ったのか」と聞きたいですね。
飯田)野田さんご自身としては、そのような問題提起もあったのでしょうか?
高橋)あるにはあったと思いますが、追悼演説として立派なものでした。国会で旧統一教会のような話を続けるよりは、経済の話などの方が重要だと思います。
飯田)あるいは安全保障など。
高橋)そうですね。
飯田)当時はまさに党首討論で、野田さんは与党などの根回しがあったわけではなく、「ドン」とぶつけてきました。あのような党首討論も久しく開かれていませんよね。
高橋)当時の党首討論は真剣勝負で面白いですよね。普通は解散の話などしないのに、野田さんは「ポン」と言ってしまいました。安倍さんも言われて驚いた感じでしたね。「いま言いましたね」と何回も早口で言っていました。
飯田)前触れもなかったですからね。
高橋)あのような党首討論は醍醐味だと思うのですが、いま党首討論をすると旧統一教会の話になるのでしょうか。
飯田)岸田さんに任命責任を、などという話になってしまうのですかね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。