政府税制調査会「相続税・贈与税見直し」の嘘 高橋洋一が指摘

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数量政策学者の高橋洋一が11月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府税制調査会がまとめた相続税や贈与税の見直しについて解説した。

政府税制調査会「相続税・贈与税見直し」の嘘 高橋洋一が指摘

2022年11月8日、記者の質問に答える岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/08bura.html)

政府税制調査会、相続税・贈与税見直し

政府税制調査会は専門家による会合で、相続税や贈与税の見直しに向けた議論の結果をまとめた。このなかで高齢者から若い世代への資産の移転を促すため、手続きの簡素化など制度の使い勝手を向上させることなどを提言した。

飯田)使い勝手の向上とともに、贈与税の非課税措置については廃止の方向で検討するのが適当だということですが。

高橋)きつい言い方をすると、「本当に専門家か」という感じですね。「使い勝手の向上」というのは、税率は関係なく手続き面の話だから、そこで少しプラス的なことを言って、下の方は「増税」と言っているのです。

飯田)贈与税の非課税措置を廃止と。

相続税と贈与税は「死んだときの相続」と「死ぬ前の贈与」という意味で基本的に同じ法律

高橋)骨太の議論をするのであれば、税金としては、相続税と贈与税は実は同じなのです。同じというのは、「死んだときの相続」と「死ぬ前の贈与」という意味です。そこは同じ税法で規定されていて、補完するから基本的には同じ法律です。

飯田)金銭の流れとしては、確かに上の世代から下の世代へ動くことは一緒で、それが生前なのか死後なのかという。

高橋)似ているのです。だからみんな相続税と贈与税を議論するときに、1つの考え方として、相続税も贈与税も矛盾なく規定するのが普通です。

飯田)相続税も贈与税も。

「所得税で全部取れなかったら、最後に相続税で取る」というのが基本になってしまう

高橋)その1つの考え方が何かと言うと、「所得税で全部取れなかったら、最後に相続税で取る」というのが基本になってしまうのです。しかし、以前は所得税で取れなかったものが、マイナンバーが導入されたことで変わってきています。マイナンバーによって、所得税の捕捉がかなりできるようになってきているのです。

飯田)マイナンバーによって。

マイナンバーの導入によって所得税は捕捉できるので「相続税ゼロ」という理論 ~「取りそこなうから最後に相続税で清算する」というのが相続税の存在理由

高橋)理論的には、「相続税全体の税金は安くなる」という理論です。そこを基本にしないと、専門家ということにはならないですよね。他の国もそうですけれども、みんな生前の所得税は捕捉できて、資産も捕捉できるようになっているから、そこでほとんど完結して「相続税ゼロ」という理論です。

飯田)なるほど。

高橋)生前に所得税を全部取るのだから、それでいいではないかということです。「取りそこなうから最後に相続税で清算する」というのが相続税の存在理由なのです。

飯田)所得税を取れない部分があるから。

高橋)そういう骨太の議論をすると、実は相続税は下がる方向なのです。所得税できちんと取れているのだから。

飯田)確かにそうですよね。

高橋)それを議論せず、小手先の話でプラスマイナスを言っているのは、私からすると税制の専門家ではないですね。実務家のなかで「今年は取りやすいからどうだろうか」という、それくらいの議論です。

相続税・贈与税が何のためにあるのか ~所得税を全部取れるのであれば、そこで完結してしまう

飯田)「相続税・贈与税が何のためにあるのか」ということから語り起こさなくてはいけない。

高橋)そうです。なるべく簡素な税金にするから、所得税を全部取れるのであれば、そこで完結してしまうのです。

飯田)昔は相続税などが大変で、3代続いたら資産家はほとんどお金がなくなってしまうというようなことも言われました。

政府税制調査会「相続税・贈与税見直し」の嘘 高橋洋一が指摘

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

所得税のところで「漏れなくきちんと取る」ので相続税と法人税は下げていく

高橋)以前はマイナンバーもなく、「所得税を全部取れなかったから」という理屈です。

飯田)国民の経済活動をやめさせるために税金があるわけではないから。

高橋)こういうときに世界を見ると、「相続税ゼロ」の国はかなりあるのだけれども、理屈としては「生前に全部取るからそこでおしまい」なのです。

飯田)なるほど。

高橋)所得税をきちんと取ると、最終的には法人税も理論的にはゼロになるのです。すべての法人所得は、全部個人に帰着できるでしょう。配当所得もそうですし、すべて帰着できます。全部そこで所得税を取ると、法人税はゼロになるのです。

飯田)個人の所得をすべて把握できるという前提があれば。

高橋)頭のなかの理論の話ですけれども、徐々にそこに近付いていっているから、相続税と法人税は下げていく。その代わり、所得税のところで「漏れなくきちんと取る」というのが筋になるのですよ。

所得課税という形であれば、そこで完結してしまうので法人税はゼロになり、相続税もゼロになる

飯田)「法人税の国際比較」などがありますけれども。

高橋)他の国がなぜ下げるかと言うと、所得税を捕捉できるから下げているだけなのです。

飯田)シンガポールなどが下げられるのは、IT化が進んで全部捕捉できるからという。

高橋)個人段階で全部把握できてしまったら、そこで全部税金は終わってしまうのですよ。もちろん消費税は少し違うのだけれども、所得課税の形だと、そこで全部完結してしまうから法人税はゼロになり、相続税もゼロになるという理屈です。

飯田)個別の税目で議論されると、そこがつながっているかどうかは、素人にはわかりませんからね。何だかいろいろなものを取られているなという。

高橋)「税理論」を言っているだけですけれどもね。

企業収益が高い分、法人税も上がる

飯田)政府税調のなかで、「将来的には消費税も上げるべきだ」と言われていますが。

高橋)わけがわからないですよ。

飯田)2022年は特にそうですけれども、税収見通しは相当、景気がいいですよね。

高橋)景気対策をしたから底が堅いし、雇用調整助成金を出したから失業も少ないでしょう。そうすると所得税が増えるのです。少し円安の話も入っています。そういうものの組み合わせですから、予測は簡単にできます。2022年度も税収は増えると思います。

飯田)2022年度は、いまのところの予測だと68兆円と言われていますけれども、「70兆円を超えるのではないか」とも言われます。

高橋)これだけ円安になっていれば超えると思いますよ。法人企業収益はすごいのですから。

飯田)企業収益がすごい。

高橋)法人税収だけでも上がってしまうし、それが上がると所得税も上がる。物価も少し高いから、消費税も少し上がります。

飯田)売価が上がれば消費税も上がる。

高橋)上がります。所得、法人と消費税がみんな上がるから、それは上がりますよ。

飯田)税収が上がる。

高橋)上がります。

いまある埋蔵金を50兆円くらい出せば、消費税を「2年間ゼロ」にすることもできる

飯田)少しは還元したらどうなのですかね。

高橋)埋蔵金を40兆円も持っているのです。なぜ出さないのかと思いますけれどもね。政府税調や財政審議会では、そういう議論はしません。だから選択的にやっているというように思ってしまうわけです。

飯田)減税はしたくないということですね。

高橋)減税しないから、対策の消化ができないなど、悪循環に陥っているのです。埋蔵金で50兆円くらいは出せますから、この際、消費税を「2年間ゼロ」にしたらよろしいと思います。

飯田)それは助かりますね。

高橋)そうでしょう。いちばん簡単な対策です。

飯田)可処分所得が1割上がることになります。

高橋)なぜそういう話をしないのでしょうか。

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