米中間選挙を「4つの観点」から見る

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。アメリカ中間選挙の結果について解説した。

米中間選挙を「4つの観点」から見る

米中間選挙 民主党の集会に出席した、バイデン大統領、オバマ元大統領ら=2022年11月5日 写真提供:産経新聞社

アメリカ中間選挙の結果

飯田)アメリカ中間選挙ですが、新聞には「下院は共和党が奪還」という記事が載っています。全体をご覧になっていかがですか?

宮家)上院と下院で多数党が違うので、「ねじれが生じる」と言われますが、アメリカという国は初めから捻れてばかりです。植民地時代から捻れていた国ですから、ねじれが常態なのです。また、今回もし「バイデン大統領の民主党が勝った」という印象があるとすれば、それは違います。トランプ前大統領が負けたのです。

飯田)トランプさんが負けた。

宮家)中間選挙については、いろいろな見方がありますが、私なりに4点申し上げます。

世論調査会社の予想は信用してはいけない

宮家)第1点は、世論調査会社の予測は外れるということです。そうした会社は10社も20社もあるのだから、当たる人が必ずいます。当たったところは「当たったぞ」と偉そうに言うわけだけれど、2年後には外れるかも知れない。ですから一つの会社を常に信用してはいけないのです。

選挙区を各党の候補者に有利なように区割りする「ゲリマンダリング」の問題

宮家)第2に、そうは言ってもアメリカの議会、特に下院がそうですが、確かに激戦区は多いでしょう。しかし、激戦区ではないところが半分以上あるわけです。そうした選挙区での結果は初めから決まっています。「ゲリマンダリング」と言われるのですが、選挙区を共和党なら共和党の票が多数出るように区割りする。それを行えば、その選挙区では誰がやっても共和党が勝つわけです。

飯田)区割りがどちらかに有利になっているから。

宮家)区割りの問題は大問題ですが、もっと問題なのは予備選挙システムです。トランプさんは気に入らない共和党の候補者をみんな予備選の段階で落としてしまうわけです。そうすると大体出てくる数字はわかってきます、他の選挙区は僅差で決まることになります。本当に風が吹くか吹かないかで結果が変わることは事実です。

予想を超えた部分があった ~「トランプさんが負けた」ということ

宮家)正直に言って、今回は何もなければ共和党は絶対に勝っていたと思います。中間選挙では、「新しく選ばれた大統領は負ける」と決まっているからです。だから確かに今回は専門家の予想を超えた部分がありました。

飯田)通常であればこうはならなかった。

宮家)中絶の問題などが原因だったと言われますが、私は「トランプさんが負けた」のだと思います。逆に言うと、共和党の内部では、いままでは「トランプさんに乗っていれば票が出る」と思われていたけれど、今回は逆効果になってしまったという声が出始めています。それはトランプさんにとって黄色信号、赤信号だと思います。

飯田)なるほど。

再選するかも知れないバイデン大統領が高齢だということ

宮家)そうは言っても、中間選挙の結果は大統領選挙とはあまり関係ないのです。かつて中間選挙で大負けしたクリントンさんやオバマさんだって、結局再選されていますからね。

飯田)クリントンさんやオバマさんも。

宮家)4番目、最後の問題は、再出馬するかも知れないバイデンさんが高齢だということです。そこはいままでのクリントンさんやオバマさんとは違います。

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