ジャーナリストの鈴木哲夫が12月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田政権の支持率低下について解説した。
低調傾向の内閣支持率
飯田)内閣支持率についてですが、岸田政権は特に下半期に入ってから、内閣支持率が落ちてきています。
鈴木)後半からですね。きっかけはいろいろあるでしょう。選挙が終わって安倍元総理の事件、国葬辺りから、やることなすことすべてに「中身がないではないか」となっていて、なかなか下げ止まらない。
内閣改造しても効果はない ~既に重要閣僚が3人代わっている
鈴木)一部、支持率が下げ止まっているところもありますけれど、全体的には低落傾向が続いています。打開するためにはどうすればいいのか。最近、一部報道では「内閣改造」や「解散」などと言われます。
飯田)そんな話がありますね。
鈴木)しかし、取材すると「内閣改造しても効果がないだろう」という話もある。そもそも、重要閣僚を3人代えているのですよ。
飯田)既に変えている。
鈴木)これは第3次改造内閣のようなものです。
飯田)もはや改造した人の方が大勢いると。
鈴木)それでも上がらないわけです。自民党の幹部が言っていたけれども、入閣のときに身体検査を行うでしょう。
飯田)よく言われますね。
鈴木)いま、その力が落ちていると。新しく閣僚を選んだところで、メインは変えないでしょうけれども、また(問題が)出てきたらアウトですよね。
飯田)新しいものが。
鈴木)だから、改造はほとんど効果がないだろうと。
現状の力では解散も難しい
鈴木)解散に関しては、野党が準備できていません。ある種やぶれかぶれ的にでも解散して、ある程度勝てば、岸田さんは信任されることになるわけですから、「伝家の宝刀として使えるのではないか」と言う声もあります。
飯田)解散に関して。
鈴木)しかし、いまやって勝てるかと言うと、自民党の選対のベテランの方は「勝てない」と言っていました。
飯田)勝てない。
鈴木)そもそも、この前の参議院選挙も、去年(2021年)の衆議院選挙もそうですけれど、大勝したというよりは辛勝、かろうじて勝ったところが多いわけです。総選挙で言うと、30くらいの選挙区で本当に最後まで競い、ひっくり返ったところもあるではないですか。例えば石原伸晃さんが負けたでしょう。
飯田)そうですね。
鈴木)そういう意味では、いまの流れでいくと、競っているところがすべて逆転されてしまうのです。これは甘くない。つまり、解散も難しいだろうということです。
「党高政低」となりつつある岸田内閣 ~党が強く、官邸が弱い
鈴木)結局、岸田さんはみんなに頭を下げ、平身低頭「支えてください」と言うしかない。最近は自民党の実力者と会ってご飯を食べていますが。
飯田)先月(11月)辺りから動いています。
鈴木)何が問題かと言うと、岸田政権のカラーがどんどん失われていく。つまり「支えてやる代わりに俺の言うことを聞けよ」という方向になるわけです。
飯田)支える代わりに。
鈴木)よく日本列島の天気になぞらえて、「政高党低」や「党高政低」と言いますよね。
飯田)言いますね。
鈴木)政というのはつまり政治(官邸)、党というのは自民党の党です。「政高党低」というのは政治、官邸が強い。安倍政権のときがそうでした。これが今度は逆になり、「党高政低」になってしまう。党の実力者の言うことを聞くから、党の力が強いので「党高」、官邸が弱いので「政低」となる。
「官高政低」が最もよろしくない
鈴木)もう1つ、「官高政低」もあるのです。官というのは官僚です。
飯田)霞が関の。
鈴木)原発をつくれとか、社会保障費の負担を増やすとか、財務省から出ている増税の話など。これは霞が関の官僚が「岸田さん、支えるから言うことを聞きなさいよ」というものです。官高政低になってしまうと、いちばんまずいですよね。
飯田)官高政低で党高政低という流れは、どこかで見たことがあるなと思います。「神輿は軽い方がいい」などという。総理大臣の椅子を指して、当時の自民党幹事長が言ったとか言わないとかというような。
鈴木)そういうことにまたなりそうですね。
飯田)90年代よりも前の話ですよね。
鈴木)結局、政治のチェックが働かないと政治は混乱します。国民にとってマイナスなことも進んでしまいます。岸田さんはここが正念場だと思います。
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