「義眼」はユーザーの方と一緒につくるもの 義眼をつけることで世界が変わる

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株式会社日本義眼研究所の水島奈央子氏と石川潤一氏が12月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「義眼をつくること」について語った。

「義眼」はユーザーの方と一緒につくるもの 義眼をつけることで世界が変わる

※画像はイメージです

義眼の世界

新行市佳アナウンサー)これまで、義足については語られることがありましたが、義眼についてはあまり語られる機会がありませんでした。

飯田)そうかも知れません。

新行)しかし、最近では若い義眼ユーザーの方が、YouTubeやSNSで義眼の入れ方や義眼コレクションを公開するなど、情報発信しています。

飯田)義眼ユーザーの方が。

新行)乳幼児のお子さんからご高齢の方まで、幅広い年齢層が義眼ユーザーになっています。お子さんだと目のがんや、先天的に眼球が小さい病気が多いそうです。大人の場合は緑内障や糖尿病などの病気、交通事故、ゴルフなどで怪我をする方が多いということです。まずは日本義眼研究所の3代目、技術担当である水島奈央子さんに伺いました。

大切なことは「義眼によって悩んでいる方の話をよく聞くこと」

新行)どんな心構えでユーザーの方々と向き合っているのでしょうか?

水島)この仕事で大事にしているのは、皆さんの要望を、じっくりお話しすることで聞かせていただくということです。「義眼の話ができる場所がない」とよく伺います。

新行)義眼の話ができる場所がない。

水島)ご家族などにも、改めて義眼の話をすることもありませんし、眼科に行っても「ゆっくり話を聞いてもらえる場所がない」というのが現状です。まずはお悩みや気になることをお話ししていただきたいと思います。

新行)まずはお悩みになっていることを。

水島)義眼によるお悩みに対して「どのような形で解決できるかを一緒に考えていきませんか?」と伺います。話すことによって心の負担が軽くなり、余裕ができたことで見えてくる答えもあります。そういう役割を私たちは担っているのだと思います。

義眼はユーザーの方と一緒につくっていくもの

新行)水島さんは「気軽に来て欲しい」ともおっしゃっています。ユーザーの方々との信頼関係をつくっていくことを大切にされている。義眼は「一緒につくっていくものだ」とおっしゃっていて、信頼関係をつくっていく上で、義眼の話だけではなく、世間話やたわいのない話もしているということです。

飯田)義眼はユーザーの方と一緒につくっていくものだと。

新行)以前、作業着が白衣だったそうなのですが、お子さんが大変な手術を乗り越えて義眼をつくりに来たときに、白衣を目にして怖がったことが何回かあったそうです。そのため白衣からエプロンに換えるなど、雰囲気づくりもされています。

義眼をつくる3つの目的

新行)義眼の使用については、大きく3つの目的があるそうです。1つ目は目を摘出した場合などに、眼球が入る場所を保護する。2つ目は、特にお子さんの場合、目の周辺の成長を促す。そして3つ目は「見た目」です。義眼をつけることで、ユーザーの方々にとっての自信にもつながっていくということです。

飯田)自信につながる。

新行)実際に日本義眼研究所にも数えきれないほどの義眼があり、見せていただきました。素材はアクリルで「ツルッ」とした感じなのですが、厚みや形、大きさもさまざまです。

飯田)なるほど。

新行)初めて訪れるユーザーの方は、見本の義眼から自分に合う形を探っていくのですが、瞳の色や大きさの違いはもちろん、白目の部分も人によって異なります。お子さんは白目が本当に真っ白ですが、大人になると少しクリーム色っぽくなります。

飯田)濁ってきますよね。

新行)そのような繊細な部分の他、血管は毛糸で表現していて、まさに職人技だなと思いました。奥深かったです。次に、義眼をつくった人からどんな声があるのか、技術主任の石川潤一さんにお伺いしました。

義眼が入ることで表情が明るくなり、着ているものの雰囲気も変わってくる

新行)実際に義眼を使用したユーザーの方からは、どんな声が寄せられますか?

石川)「つくってよかった」という声が多いです。大人になってつくる方は大概、怪我をして、ショックを受けてここにいらっしゃいます。当然、最初は暗い顔をしているのですが、義眼が入り、眼帯を外すことができると「これで普通の生活ができる」と「ホッ」とした様子で帰られる方が多いですね。

新行)来たときと帰るときで表情が違う。

石川)いらっしゃるごとに、表情や洋服の雰囲気も変わってきます。「明るくなったね」などと話をします。

その人の魅力が引き出せるような義眼をつくる

新行)石川さんのお話のなかで印象的だったのは、義眼をつくるにあたって、「その人の魅力が引き出せるような義眼をつくること」を大切にしているということです。

飯田)その方の魅力を引き出せる義眼。

新行)どんな笑い方をするのか、どういう表情をされるのかという部分を、話しながら見てつくっていらっしゃるということです。

飯田)そういうところも全体の雰囲気を見ながら微調整するのですね。

ファッション性を求めるユーザーも

新行)最近は、好きなアニメのキャラクターを再現した目や、「緑色の目にして欲しい」などという依頼もあり、技術の方も試行錯誤しながら取り組んでいるそうです。

飯田)ある意味のファッション性のようなものが。

新行)そのような部分も高まってきているようです。義足に関する養成学校はありますが、義眼の学校はないので、自社で職人を養成することになり、人材不足の問題もあるそうです。

飯田)養成学校がない。

新行)職人の皆さんの前職はさまざまで、必ずしも医療や福祉関係に携わっていたわけではないのですが、まずはユーザーの方と実際に話すことが大切だとおっしゃっていたのが心に残りました。

飯田)障害を負った方の生活の質を改善するものだということですね。

新行)義眼は一生ものですから。成長に合わせてつくっていく部分もあるので、長いお付き合いをされています。お子さんから大人になる成長過程も見守っているとおっしゃっていました。

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