大切な国の防衛については「国債以外」で賄うべき
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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が12月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。防衛費増額の財源確保策について解説した。
防衛増税、実施時期などの判断は来年以降に持ち越し
自民党と公明党は12月15日、与党税制協議会を開き、防衛費増額の財源確保策として、法人税、所得税、たばこ税の3税の増税方針を2023年度税制改正大綱に盛り込むことで合意した。法人税は4%~4.5%、所得税は1%を税額に上乗せし、たばこ税は1本換算で3円引き上げる方針。ただ、与党内の強い増税反対論などに配慮し、実施時期は「2024年以降の適切な時期」として明示せず、判断を来年に先送りした。
飯田)防衛費の話は、「安保3文書」と地続きのところがあります。
安保3文書を突き詰めると、金額が足りなくなる
宮家)「安保3文書」は戦後、最も重要な文書だと思いますし、日本がようやく普通の国として防衛のことを考えている、国家戦略を考えている、つまり、国益を見据えて脅威を認識し、そして手段を考えていくというものです。ただ、それを考えて突き詰めていくと、どうしてもお金が足りません。
飯田)防衛費としての。
宮家)やらなくてはいけないことはあるのだけれど、「それをどこから出すのか」ということです。この例えが適切かどうかはわかりませんが、皆さんのお宅で、古い鍵を直さなくてはいけなくなったとします。警報機もつけなくてはいけない場合、防犯や戸締りの費用を借金だけで賄いますか?
大切な防衛についてのお金をつくるためには、税金も増やさざるを得ないのでは
宮家)防犯は大切なことの1つだから、家計をやりくりして家計簿のなかから出さなくてはいけないということです。そうすると、他のところを若干減らさなくてはいけないかも知れませんが、そうでなかったら、「税金も増やさざるを得ないのではないか」という議論になるわけです。
大切な国の防衛については国債以外でどうやりくりするかを考えなくてはいけない
宮家)そのなかで、これも苦肉の策だと思いますけれど、専門家がいろいろ考えた末に1つの結論が出てきたのだと思います。
飯田)苦肉の策として。
宮家)「増税だからけしからん」という話はもちろんわかるし、増税することで経済に悪影響が出てはいけないという考えもよくわかります。しかし、国の安全保障、国の防衛です。国民1人ひとりの生命、財産を守るわけです。
飯田)国民の生命と財産を。
宮家)それ(防衛費)をわずかな額でも減らしたために、例えば生命なり財産なりが守れなくなったとしたら、それはどうなのでしょうか。
飯田)本末転倒ですね。
宮家)いろいろな反対論があるのはわかります。それも1つの議論です。党内も含めて、パフォーマンスとして反対した人もいたかも知れませんけどね。
飯田)増税は反対だという。
宮家)だけれども、パフォーマンスや党内の権力闘争などとは別に、家計の問題として「戸締りや防犯を借金、つまり国債ではない形で、どうやりくりしていくか」を考える必要があるのではないかと、個人的には思います。
「税金で賄うのが難しいから防衛費を減らしましょう」となってはいけない
飯田)「増税は避けるべきだ」と言う人のなかでも、いろいろな議論があります。「景気が悪いこのタイミングで増税しなくてもいいのではないか」、また「増税だけが解となってしまうのはどうなのだろう」ということが議論として出ています。
宮家)増税だけが解でなければ、借金だけでするのですか?
飯田)やりくりしてどこかから出すこともできるかも知れないし、景気の悪いこの時期はとりあえず国債で出して、のちのち対応するとか。
宮家)では、来年(2023年)になれば景気がよくなるのでしょうか?
飯田)そこの問題はね……。
宮家)議論することはもちろん大事です。しかし、単にお金の問題だけではなく、「そのお金が何のために使われるのか」をきちんと認識しなくてはいけません。
飯田)結局はそうですよね。「税金で賄うのが難しいから防衛費を減らしましょう」という議論になってしまってはいけない。
宮家)そうです。
日本の技術で弾道ミサイルなどを開発するべき
飯田)「防衛の何をどう増やしていくのか」という話になると、トマホークなど、具体的な兵器の名前が出てきますが。
宮家)トマホークだけではないでしょう。日本にも弾道ミサイルをつくる能力、それを正確に着弾させる能力はあるわけです。それを開発するべきです。外国のものばかり買うわけにはいきません。
飯田)日本のロケットの技術などは、非常に大きいのですか?
宮家)科学技術をうまく使って戦争を回避、抑止できるのであれば、安上がりだし、とても大事なことだろうと思います。なかなかそういう発想の転換は1日にしてはならないので、時間を掛けなくてはいけないと思いますけれど、そういう方向に動いていって欲しいし、いずれ、そうなるだろうと思います
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