小泉進次郎氏が「安倍元総理の知られざる功績」を語る

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元環境大臣の小泉進次郎衆議院議員が12月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍元総理が尽力していた環境問題について解説した。

小泉進次郎氏が「安倍元総理の知られざる功績」を語る

衆院予算委員会で答弁する小泉進次郎環境相。左は安倍晋三首相=2019年10月11日午前、国会・衆院第1委員室 写真提供:産経新聞社

安倍元総理暗殺事件 ~容疑者の鑑定留置期間を再延長

奈良地方検察庁は安倍元総理大臣を銃撃し殺害した疑いで逮捕した山上徹也容疑者に対し、鑑定留置期間の延長請求を行っていたが、2023年1月23日まで期間延長が決定したことを明らかにした。

安倍元総理とは「大臣と総理」の関係であった小泉進次郎氏

飯田)小泉さんは安倍元総理とは、安倍政権の終わりの2019年から環境大臣として、「大臣と総理」という関係でもあったわけです。

小泉)そうでしたね。安倍元総理から電話をいただいて、「小泉さん、環境大臣をよろしく」と。そういうスタートでした。飯田さんに散々批判されたレジ袋と関係しているのですが、安倍総元理とは今年(2022年)、一緒にやらせていただいていた仕事があります。

「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン推進議連」会長を務める小泉氏 ~海洋プラスチックごみによる汚染を2050年までにゼロまで削減することを目指す

小泉)私が環境大臣だったとき、プラスチックに関する法律を新たにつくりました。その前段として、2019年6月G20が大阪で開かれたときに、トランプ大統領を説得して、「海中のプラスチックごみの汚染が広がっているから、使い捨てプラスチックを2050年までになくそう」ということをまとめたのが、安倍元総理だったのです。

飯田)大阪でのG20のときに。

小泉)2050年までに海洋プラスチックごみをなくすという提案をG20で共有し、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」と名付けました。「G20から拡大し、これを世界の条約にしよう」という交渉が始まり、いま私は大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを推進する自民党の議員連盟の会長なのです。

飯田)「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン推進議連」の。

小泉)私が会長を引き継いだとき、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを取りまとめた安倍元総理に最高顧問になっていただこうと思い、お願いに行きました。

「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン推進議連」の最高顧問は安倍元総理 ~議連の会合にトランプ前大統領の直筆の修正文言が入った資料を持参

小泉)そのとき安倍元総理からは、「環境関連で議連の役員をお願いされたのは初めてだし、もちろん受けるのは初めてだ。これからは大事だよね」とおっしゃられて、議連の会合にも来てくださいました。その際トランプ前大統領の直筆の修正文言などが入っている資料を持参していただき、「実はあのときこういうことを言われて、この言葉だったらいいか……というやりとりをしたのがこの紙なんだよね」と話してくださいました。

飯田)会合で。

小泉)安倍元総理が環境分野に注目されていたイメージは、あまりないですよね。

「環境と経済の両立」を訴えた安倍元総理 ~3~4年後には世界の条約になる可能性も

小泉)これからの日本、自民党にとって大事だと思うのは、保守と言われている政党が環境についてしっかり考えることです。安倍元総理は、「これからの環境問題はコストではなく、経済成長の源泉だ」と。「環境と経済の両立」を明確に発信された(元)総理でした。

飯田)環境と経済の両立。

小泉)その言葉は、いまでも歴代政権で使われています。安倍元総理がトランプ前大統領という難しい相手を説き伏せながら、G20メンバーである20ヵ国の国々をまとめたことが、いま約100ヵ国に広がり、うまくいけば3~4年後には世界の条約になる可能性があります。

プラスチックに関するルールづくりを日本がリードすれば、世界のマーケットを取ることができる ~経済の話に位置付けたのは安倍元総理の功績

小泉)そうなれば、世界的に法的拘束力を持つ形で、使い捨てプラスチックをやめていく方向になるかも知れない。日本の高い技術力でスピード感をもって推進すれば、間違いなく日本は将来、世界のマーケットを取ることができるのです。これは環境問題だけではなく、経済の話なのです。

飯田)スタンダードを取っていくと。

小泉)そうなのですよ。これを位置付けたことは、あまり語られていないですが、安倍元総理の大きな功績だと思います。

小泉進次郎氏が「安倍元総理の知られざる功績」を語る

2019年6月28日、日米首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/201906/28g20.html)

日本が必要な電力を賄うために「再エネがどこまで入るか」

飯田)メールもいただいています。松戸の“草蛇”さんからです。「レジ袋有料化の話などに力を入れていましたが、トランプさんが反対したというのも、自国のなかにシェールオイルなど、いろいろなものがあり、それをビジネスとして使っていきたいというようなことがあった。いま、日本は電気が足りなくなるかも知れない。(再生可能エネルギーとしての)太陽光は、冬に雪が降ると動かせなくなるなど、いろいろな問題があります。原発再稼働なども言われていて、これは必要ではないかと思いますが、いかがですか?」といただきました。環境と原発の話で、ヨーロッパなどでは「使わざるを得ないのではないか」という議論も出てきていますが、どうですか?

小泉)いまロシア・ウクライナ情勢で、一時的に化石燃料への需要が増えています。

飯田)そうですね。

小泉)ただ、大きな流れからすると、脱炭素の流れは止まらない。日本としては、必要な電力を賄うために、再生可能エネルギーをどこまで導入できるか、原発をどこまで持つか。そして化石燃料をどこまで減らせるかを決めなくてはいけません。すべてのことが決まっていく要素として大きいのは、「再エネがどこまで入るか」ということです。

飯田)再エネが。

小泉)残念ながら太陽光などは、あまり信頼出来ない事業者が行っている場合があり、地域の理解が得られず、地元住民から太陽光設置に対し反対にあっています。そのことは真っ当にやっている太陽光や再生可能エネルギー事業者にとっては、風評被害に近い状況です。今後、信頼出来る事業者によって、地域住民に理解が得られる形で再エネを入れていくべきです。

飯田)信頼できる事業者によって。

小泉)そのなかの1つが地熱であり、これから最大の量が見込まれているのは洋上風力です。これら1つひとつを導入していく方向で、スピードを上げて進めなければいけないですね。

ガソリン、電力、ガスに対する補助金は年間9兆円以上 ~この仕組みの出口戦略を早く明示するべき

小泉)電力問題で言えば、喫緊のいちばんの問題の1つは、ガソリンや電力、ガスに対する補助金です。これに対して年間9兆円以上が使われている。防衛費以上の金額ですから。

飯田)年間9兆円。

小泉)しかも化石燃料を輸入して、毎日ガソリンだけで約100億円を使っているのです。1日に100億円を使えたら、とんでもないことができますよ。1ヵ月で3000億円、1年間で3.6兆円です。

飯田)ガソリンだけで。

小泉)この仕組みの出口戦略を早く明示しなければいけないと思います。おそらく、多くの方は気付いていないと思いますが、リッターあたり30円くらいが補助金によって、これ以上価格が上がらないようになっている。

飯田)補助金によって。

小泉)もちろん、絶対に運転しなければいけない方にとっては必要だと思いますが、これからいかに電気自動車を増やしていくかという流れのなかで言えば、政策的にはもっと早く方向性を変えていかなければならない。それと併せて、政治として動かなければならないと思います。

2030年までに地熱による再生可能エネルギーを倍増させる「地熱倍増計画」が進行中

飯田)エネルギーミックスとしては、天然ガスや石油の部分が増えています。そのバランスごと変えなければいけないことになりますか? そうすると、選択肢として「再生可能エネルギーか、原発か」という2つに絞られてしまうような気がしますけれど。

小泉)再生可能エネルギーのなかでも、さまざまな種類があります。ベースロードと言われる安定的なもの、風が吹いている、吹いていないに関係なく、太陽が照っている、照っていないに関係ないエネルギーの1つが地熱です。

飯田)地熱。

小泉)この地熱についても、私が環境大臣のときに、環境省は国立公園を守るために地熱をブロックしている、「それが環境省だ」といういわれなき批判があったのです。

飯田)そういうイメージがありました。それは「いわれなき」なのですね。

小泉)実際は国立公園のなかで、数十件の地熱案件が行われています。でも、確かにもっとできることがあると思い、当時「地熱倍増計画」として、2030年までに地熱を倍増させる計画を立てました。

飯田)2030年までに倍増させる。

小泉)いまその計画に基づいて話が進み、いろいろな地域で「うちは地熱ができるのではないか」という声が上がってきています。しっかりとやれるところをやれば、ボリュームとしては一気に増えるものではありませんけれど、間違いなく安定的になります。

養殖も行い観光資源や地域資源にもつながる再エネとしての洋上風力

小泉)再エネに関して、ボリュームとしては洋上風力です。いま首都圏に近いところでは、千葉県の銚子沖で計画があります。素晴らしいのは、漁業関係者も前向きに取り組んでいることです。風力の根っこのところが、魚の寄ってくる魚礁になるのです。

飯田)そうなのですか。

小泉)結果的に将来、伊勢エビなどの価値が高い養殖を行い、カーボンニュートラルの漁業、観光資源や地域資源につなげていくという未来を描く方も出てきています。再エネが描く地域の新しい姿があり、すごく魅力的なところです。

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