作家で自由民主党・参議院議員の青山繫晴と数量政策学者の高橋洋一が12月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理と安倍元総理の存在について解説した。
岸田総理の政局観
飯田)愛媛県新居浜市の45歳男性の方から、「(岸田総理は)事実上のアベノミクスからの転換を図っています。私から見ると、安倍政権との決別にしか見えませんけれどもね、青山さん」というメールをいただきました。
青山)おっしゃる通りだと思います。岸田総理は力を見せようという傾向がこのごろ強いですからね。
飯田)力を見せよう。「私は決断できるのだ」ということですか?
青山)安倍派の半分くらいしかいない岸田派なのだけれども、安倍さんがいないわけですから、跡目も決まらないし、「力を見せるならいまだ」という政局観なのでしょう。私はそうは思いませんが。
飯田)いまだったら党内でという。
いまだからこそ、「苦しんでいる安倍派を救う」のが政局観を持ったやり方
青山)「苦しんでいる安倍派を救う」というのが政局観を持っているやり方なのです。その頭を叩くようなことをすれば、いまはみんな聞いたふりをしているけれども、必ず隠れた政局が進行すると思います。
飯田)苦しい時期となると、腹のなかではいろいろな思いがありますよね。
青山)苦しいときに手を差し伸べるべきです。跡目がいないのであれば、「安倍派のかなりの部分はこちらに寄ってくる」というのが、本来の政局のつくり方でしょう。宏池会は政局のつくり方が下手だなと思います。
指導者に必要なのは、人間観、政局観、経済の相場観 ~相場観が抜けている
飯田)人間の感情を考えると、それが普通ですよね。苦しいときに助けてくれた人のことは、絶対に裏切らないと思います。
青山)指導者に必要なのは、国家観や歴史観はもちろんですけれど、人間観、政局観、それから経済の相場観が必要なのです。その相場観が抜けているから、増税だとか、急に利上げ方向に日銀をプッシュすることにもなっているのだと思います。
苦しいときに助けてくれた人を忘れなかった安倍元総理 ~景色が変わって自分がいちばん下になったときによくわかる
飯田)いろいろな人が、「安倍さんは苦しいときに助けてくれた人を忘れなかった」と言います。
高橋)「第1次政権のあとに人が周りからいなくなった」と本人が言っていました。「そのときに助けてくれた人が本当の人だ」とも話していました。景色が変わって、自分がいちばん下になったときによくわかるのだと思います。
飯田)下になったときにわかる。
高橋)上になれば、人が集まってくるのは当たり前でしょう。
飯田)自然と集まってくる。
高橋)安倍さんは頂点からいちばん下までいってしまったわけです。そういうときにわかったと言っていました。
青山)安倍さんにとって、高橋洋一さんは深い理解者だったのですよ。
高橋)あのころ、私は議員会館にアポなしで行っても入れましたね。
飯田)安倍さんもそこにいるし。
挫折を経験したからこそ安倍元総理は人の痛みがわかる「懐の深い」総理だった
飯田)青山さんは常々、人は挫折のときこそ学ぶのだとおっしゃっています。
青山)失敗だけが財産です。成功はほとんど参考にならない。安倍さんは、それを見事に活かす人でした。第1次安倍政権を失って人が去っていくようときに、去らなかったのが高橋さんであり、私でした。そのときは私たちは政治家ではありませんでしたけれど。
飯田)民間人の立場だった。
青山)政治家は「サーッ」と去っていったので、記者時代の経験から、「懐が浅いな」と思いました。安倍さんは懐が深かったです。
高橋)そういう経験をしたからかも知れませんけれどね。
青山)あとは潰瘍性大腸炎、病気のこともあったので、人の痛みがわかる。単なるお坊ちゃんではありません。
「国があってこそ民が守られる」という日本人の本来の国家観を深いところで理解していた安倍元総理
飯田)日本という国全体を考えたときに、20~30年は失われたなどと言われますけれども、この失敗を活かせないのでしょうか?
青山)日本は失敗を活かすのが苦手なのです。敗戦という大失敗を活かすどころか、自分の能力も抑え、日本の伝統にまで食い込んで物事を壊していこうとする77年だったでしょう。
飯田)「国益が何か」という定義は今回、(安保)3文書でやりましたけれども、なかなかそれが考えられなかった70年間ではないかということを、日経の論考に政治部長の方が書かれていました。
青山)「国家観」と言いますが、一般の大学でやっているような国際政治論のなかでの国家論ではなく、日本はどういう成り立ちの国で、なぜオリジナルのカレンダーがキリストが生まれる660年前から始まっているのか。
飯田)(紀元前)660年前から。
青山)神武天皇が実在したかどうかは別にして、お生まれになった年ではなく、即位なさった年、つまり「個人の独裁者をつくらない」というのが日本の隠れた国是です。
飯田)日本の国是。
青山)「国があってこそ民が守られる」という発想が、日本人の本来の国家観なのです。それを安倍さんは深いところで理解されていたと思います。77年間、それを失っていた状態から改革しようとしたのが、安倍政治の1つの試みだったのです。「安倍政治」はいつも嫌悪した言葉で言われるけれども、アベノミクスもそのなかにあるわけです。
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