ジャーナリストの有本香が12月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。有本香氏が2022年~2023年のキーワードに選んだ「安」について解説した。
有本香氏が選んだキーワード「安」
飯田)有本香さんが「2022年~2023年のキーワード」として選んだ「安」。いろいろな意味が隠されていそうですが、どのような意味があるのでしょうか?
有本)まずは安全保障ですよね。2月にロシアがウクライナを侵攻し、日本国内でも「戦争はこのように起きるのだな」ということを、多くの人が知ったと思うのです。
飯田)ウクライナ情勢によって。
有本)そんななかで、年末に安保3文書の改定がありました。かなり踏み込んだもので、日本の戦後の歴史のなかでも、安全保障に関する大きな転換点と言えるでしょうね。そういう意味の「安」でもあります。
安倍元総理の暗殺 ~安倍氏の「安」
有本)国内での今年(2022年)いちばん大きなニュースは、7月に安倍元総理が暗殺されたことではないでしょうか。
飯田)「日本国内でこんなことが起こるのか」と驚かされた事件でした。
有本)しかも、よりによって安倍さんが、というのはありますよね。安倍さんの「安」でもあります。
飯田)そうですね。
有本)安心とは程遠い、安全も脅かされつつある。来年(2023年)こそは、もっと安全を確保できる年にしなければいけません。
急激に進んだ円安
有本)一時、非常に円安が進みましたよね。日本が安くなるのだというような捉え方もされていました。
飯田)1ドル150円くらいまでいきましたね。
有本)そういうことを総合して、私としては「安」という感じなのです。
「防衛費GDP比2%」に反対の声は上がっていない
飯田)安全保障というものに皆さん、肌感覚で厳しいなと。
有本)批判的な数字が出ると思われるようなメディアのアンケートでも、「日本はきちんと軍備を整えるべきだ」という意見が多いです。どこのメディア調査でも過半数を超えています。
飯田)軍備を整えるべきと。
有本)今回も岸田政権の「防衛費をGDP比2%に向けていくのだ」という大筋に対して、反対の声はほぼ上がっていないわけですよ。
飯田)そうですよね。
有本)やり方についての反発があるのだと思います。
飯田)やり方について。
有本)これは大きな変化です。いままでであれば、そこでまず「反対」という声がメディアなどから投げられて、世間も「そうだよね」と。「軍備よりも福祉だろう」というような乱暴な話が出ていたはずなのですが、さすがにそういう状況ではありません。
飯田)少し前であれば、「そういうことを増強すると、周りの国の疑心暗鬼を生んで狙われるのだ」という意見が出てくることもありました。
有本)「自ら緊張を招くのだ」というような声がありましたけれど、さすがにいまそういうことを言う人は少数派になってきました。
飯田)やはり「戸締まりはきちんとしなければいけない」ということですよね。
有本)そういうことです。
来年以降、日本の安全や存立をどのように確保していくのか
有本)やはりロシアがウクライナを侵攻した経緯を見ていても、力のアンバランスがどれほど恐ろしいかを目の当たりにしましたからね。それは皆さん気付いていたけれども、いままで言いにくかった雰囲気があった。それが変わったということですかね。
飯田)力のアンバランスが。
有本)ですから来年以降、私たちは自分たちの安全や存立をどのように確保していくのか。そこに相当、意識を集中させないと、本当に危ない状況になると思います。
飯田)確かに安保3文書ができたけれど、それでおしまいではないどころか、ここからがスタートですよね。
有本)スタートですね。この前、浜田防衛大臣がかなり踏み込んだことを言っていました。いままで言われてきた「専守防衛との矛盾はどうするのだ」という質問だったと思うのですが、「有事になったら即、反撃能力を誇示できる」というようなことをおっしゃっていました。しかし、まだまだ矛盾は拭えないわけです。専守防衛という文言も残っているし。
飯田)矛盾は拭えない。
有本)非核三原則という言葉は、岸田総理のこだわりがあって残したということですけれども、安倍元総理が残していった「核シェアの問題は議論しないのですか?」という課題も残ります。やはり「核の抑止」がない限り、はっきり言って北京やモスクワは「まだあんなことを言っている」という感じですよ。
飯田)最終的には。
有本)そうなのですよね。核の恫喝がいちばん効くということになります。
飯田)ウクライナ情勢を見ていると、「核がロシアにはある」ということでNATOも逆に手出しまではできないと。これはある意味、抑止されてしまっている。
有本)されてしまっているのです。世界中が怯えてしまいましたからね。その辺りをどうするのか。非核三原則を置くことによって、自ら歯止めを掛けてしまっているのです。
憲法改正を進めるべき
有本)それから、憲法改正です。いままで日本がいわゆる「盾と矛」と言ったときに、矛の役割はもっぱらアメリカに委ねると言ってきた根本は、憲法なのです。そこを変えない限り、矛盾は解消されていないと思うのだけれども、動く気配が見られない。安保3文書だけは変えましたが、政治的には、怠慢だという懸念が拭えないと思います。
飯田)怠慢。
有本)日本を守るために、しっかりとした抑止力を自ら備えるためにも、年が明けたら、すぐさま岸田総裁が自民党に声をかけて憲法改正を進めるべきだと思います。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。