日本の政界には「次の強い総理大臣を育てよう」という意志がない
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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が1月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「次の政界のリーダーをどうつくるか」ということについて語った。
永田町には異次元のリーダーがいない
飯田)ただのリーダーではなく、永田町の「異次元の」リーダーということですが、どういうことでしょうか?
松井)いまは「現状維持」という感じではないですか。落語の世界には一之輔師匠という名人がいます。誰が見ても将来の落語界を背負って立つ、それこそ異次元のリーダーですよね。いまの師匠陣から見たら、「こいつは何を考えているのだ」というような人です。
飯田)一之輔師匠は。
松井)落語界には、そういうとんでもない人が出てきているのです。
飯田)落語の世界では。
松井)(岸田さんは)「異次元の少子化対策」などと大仰なことを言っているけれど、「あなたが異次元になりなさいよ」と思います。
「この人を次の総理大臣にしよう」という話をしている人がいない
松井)岸田さんのことだけではなく、ポスト岸田には誰がいるかと言うと、よく河野太郎さんの名前が挙がります。河野さんはとても面白いのですが、周りの人たちが全然ついていっていない。こんなことを言うと特定されてしまうけれど、いまのデジ庁でも、「やはり河野さんはいいね」「この人を次の総理大臣にしよう」と話している幹部の人たちがいないのです。敢えて言うと福田達夫さんなど、そういう人はいますよ。
飯田)福田達夫さん。
中国もアメリカも時間を掛けて「次のリーダー」を育てている ~かつての習近平氏もオバマ氏も
松井)民主党政権のときに、習近平さんはまだ次期(リーダー)だったので「副(主席)」とついていました。それを小沢一郎さんが天皇陛下に無理やり会わせようとした。宮内庁は「やめてください。急に言われても困ります」と言っていました。
飯田)「ルール違反ですよ」と。
松井)ナンバー1、ナンバー2ということだけではなく、ある程度の時間の猶予を持って言わなければならない。しかし、中国は明らかにこの人を次のトップに据えようとしている。だから陛下に会ってもらってもおかしくないという流れだったのです。そのように中国は育ててきていた。
飯田)習近平さんを。
松井)アメリカでもオバマさんが彗星のように出てきたとき、米民主党には「この人を次の大統領にするのだ」という意志があった。それから人気を含めてどう磨いていくのか。大統領選挙では、それぞれの陣営がリーダーを決めて、2年ぐらいかけて大統領をつくっていくではないですか。縦横斜めから批判されても大丈夫な大統領をつくっていく。それが日本の永田町にはないのですよ。
「次の強い総理大臣をつくろう」という意志が永田町にはない
松井)私は泉健太さんを長年知っているのですが、リーダーにまつり上げておいて、あとで……。
飯田)はしご外しのような。
松井)そうなのです。同じことが自民党にも言えます。自民党の方が中長期的に人をつくるという意思は強いけれど、もう少し進めていかないと、国際社会に出ても存在感がありません。
飯田)国際社会に出ても。
松井)安倍さんはたまたま、いろいろな経験を積まれた。1回失敗したことも含め、一緒に高尾山に登って励ましたりして、周りのチームがつくっていきました。
飯田)ありましたね。
松井)そういう辛い時期も含めて、「どう育てるか」を考えないといけないのです。これは岸田さんのせいではないのですよ。
飯田)全体ですね。
松井)政界全体のせいなのです。党首討論などをして、「この論客を次のリーダーとして世の中から引っ張り出す」というような発想が必要だと思います。
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