ロシアとウクライナの戦争 調停者がいないという「もう1つの問題」
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元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が1月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。プーチン大統領が36時間の停戦を命じたウクライナ情勢について解説した。
プーチン大統領が36時間の停戦を命じる
飯田)プーチン大統領は1月5日、侵略を続けるウクライナ東部・南部の前線で、1月6日正午(日本時間6日午後6時)から36時間の停戦に入るよう、ショイグ国防相に指示したということです。正教のクリスマスにあたるとのことで、こういう動きがあるのですね。
松井)我々からだと、ヨーロッパは同じ文化的背景に見えますが、やはりギリシャ正教とカトリックは長い複雑な関係があるようです。
飯田)ギリシャ正教とカトリックには。
松井)昨年(2022年)『ボリス・ゴドゥノフ』というロシアのオペラが上演されて、佐藤優さんなどが解説されました。
ギリシャ正教とカトリックにある対立の歴史
松井)ロシア人の動きや、それに対するヨーロッパの反応を見るときに、同じキリスト教であっても、ギリシャ正教と特にカトリックには対立の歴史がある。「そういうものを背景にして見ないと間違える」と佐藤さんが解説されていて、「なるほどな」と思いました。
飯田)ギリシャ正教とカトリックにある対立の歴史を。
松井)それだけプーチンさんは、ロシア正教を大切にしているということではないでしょうか。これが戦争の今後の行方を見るときに、どんな意味があるのかは私にはわかりませんが、ロシアもウクライナも疲れが出ていますから、どういう形で終わらせるのか。プーチンさんの権勢を考えれば、無様な形では終われませんから、なかなか厳しいとは思いますが、背景には国民の疲れがあるのではないでしょうか。
飯田)ロシア側は特に。
松井)ウクライナ側も相当疲れていると思います。バックグラウンドをともにする両国ですから、そういうところで宗教指導者の説得のようなものをうまく受け入れてくれないかなと、このニュースを聞いた瞬間に思いました。簡単なものではないと思いますが。
調停者がいないロシアとウクライナの戦争
飯田)かつて東西冷戦時代は終結に向けて、ローマ・カトリック、ローマ教皇の動きがあったとも言われています。
松井)こういうときに為政者ではない人が出てきて、ワンポイント置くということももちろん大事ですし、両国民の気持ちにいい意味で影響して欲しいです。当然、我々はロシアの蛮行を絶対に許せないわけですが。
飯田)そうですね。
松井)どこでどう収拾をつけるかということで言えば、この戦争の大きな問題として、調停者がいないのですね。
飯田)調停者がいない。
松井)一時はトルコが立とうとしたこともありましたし、中国にそれを期待する向きもありました。しかし、背景として、中国とアメリカがどういう関係でロシアに対峙するのかというところが大きく動かないと、難しいのかも知れません。「ロシア正教におけるクリスマス休戦」ということも含め、宗教指導者の違う観点でのきっかけが欲しいところですね。
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