東京消防庁第二消防方面本部消防救助機動部隊の杉本隊長が1月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。阪神・淡路大震災の教訓から発足された消防救助機動部隊について語った。
阪神・淡路大震災の教訓から「消防救助機動部隊」が発足
飯田)6434人が犠牲となった阪神・淡路大震災から、1月17日で28年を迎えます。今回は、東京消防庁の消防救助機動部隊(通称ハイパーレスキュー)への取材の模様をリポートします。ハイパーレスキューは特殊な技能、能力を有する隊員や装備で編成されており、多くの命を早い段階で救出することを目的としたスペシャリスト部隊です。まずは部隊が発足した理由について、東京消防庁第二消防方面本部消防救助機動部隊の杉本隊長にお話を伺いました。
杉本)平成7年に発生した阪神・淡路大震災の教訓から、当時、通常の消防力では対応が困難な災害に対して、いままで以上の特殊な技術・能力を持つ隊員と、大型重機や救助用資機材、消火のための大量の水を遠距離まで運べる装置など、機動力を持ち、多くの人命を早期に救出することを目的とした新しい部隊として、消防救助機動部隊が創設されました。
大規模災害や事故現場で救出・救助活動を展開
飯田)発足以降は通常の災害現場に出動するのはもちろんのこと、2011年の東日本大地震や、2021年に起きた熱海市の土砂災害など、大規模な自然災害や事故の現場で、救出・救助活動を展開しました。全国の消防と連携しながら、多くの人命を救っておられます。
震災や大規模災害、「NBC災害」に対応するハイパーレスキューが設置
飯田)私が取材に向かったのは、大田区京浜島を拠点とする、東京消防庁第二消防方面本部消防救助機動部隊です。目の前には羽田空港があり、あるいは石油タンクの火災などにも備えている部隊でもあります。東京消防庁は、管内10の方面に区分けされているのですが、そのうちの5つに震災や大規模災害、また、核・生物・化学物質による特殊災害である「NBC災害」に対応するハイパーレスキューが配置されています。
3つのグループが365日24時間体制で出動に備えている
飯田)第二消防方面本部は隊員が60名おり、毎日勤務されている隊員の方は3名。そして19名が所属する3つのグループが交代で勤務し、365日24時間体制で出動に備えているということです。いまこの瞬間も出動に備えてスタンバイしているわけですが、この本部はハイパーレスキューにしかない特殊な消防車や重機もたくさんあるそうで、乗り物大好き少年にはたまらないところでもあります。屈折放水塔車という、福島第一原発事故でも放水作業で使われたものや、クレーン車、ドラグショベルなどのショベルカー、ホイールローダーという先頭に大きなバケットが付いているような車両など、さまざまなものがありました。
近年は土砂災害の発生が多い ~手堀りなどの技術が必要に
杉本)大規模災害も年々多様化していて、近年では土砂災害が非常に多い状況です。2021年、機動部隊では熱海の土砂災害に出動し、そのときの教訓をもとに、土砂災害技術の向上を目的とした訓練を重点的に実施し、技術のレベルアップを図りました。
飯田)土砂災害のときは、まず土砂を掻き出さなければなりません。時間と勝負しながら戦っていくことになりますか?
杉本)まずは要救助者の方が生存した状態で埋もれている可能性があるので、手掘りなどの技術になります。マンパワーで活動することになるのですが、どのような形で掘り出すのかをみんなでいろいろ研究し、訓練していました。
ドローンによって現場の全体図がわかるようになった
飯田)要救助者がいるということになると、いきなり重機を入れるわけにはいかない。瓦礫を重機によって撤去しながら、手掘りで救助していく作業が必要となります。ただ、現場に入っていると、全体がどうなっているかが把握しづらいところもあり、最新技術を使ってカバーすることもあるようですね。
杉本)昔はヘリの映像やテレビの上空からの映像を見て、私たちも初めて全体的な災害規模を知るような状況だったのですが、いまはドローンによって現場の全体図がわかるようになりました。「大体ここに流されているだろう」というような判断はしやすくなったと思います。
日々のコミュニケーションが大切 ~些細なことでも報告できる雰囲気をつくる
飯田)最新技術や装備の進化はあるのですが、一方で作業を行うのは最終的には人間です。しかも一歩、判断を間違えると、本当に危険な場面に遭遇することになります。そのような状況において隊を率いる上では、何が重要になるのでしょうか?
杉本)私は隊員とよく会話をします。仕事に限らず、趣味や家族の話など、たわいもないことですが、勤務中や勤務外などに話しています。私の役目は部隊で話しやすい雰囲気を常に自分からつくることだと思っています。
飯田)「何かおかしいな」と隊員が感じたときに、すぐ情報が上がってくるなど、そのようなところが変わってくるのでしょうか?
杉本)そうですね。話しやすい雰囲気をつくれば、ちょっと気付いたことでも隊員が自分に報告してくれるので、大事だと思っています。
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