新型コロナ「5類」引き下げの決定がなぜここまで遅れたのか?
公開: 更新:
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。新型コロナウイルスの感染症法上の「5類」への引き下げについて解説した。
新型コロナ、5月8日から「5類」に引き下げの方針
飯田)5月8日から新型コロナは「5類」に引き下げられるということです。具体的な日付が出てきました。
引き下げの決定がなぜこれほど遅れたのか
宮家)素朴な疑問を言うと、「なぜいま決めるのですか?」と思います。5月8日ということは、連休前や連休中だと混乱するので、連休明けになったのかも知れません。
飯田)なぜいま決めるのかと。
宮家)自分の記憶では、おそらく1年ぐらい前から、私は無責任に「早く変えた方がいいのではないか」と言っていた気がしますし、多くの方もそう思っていたかも知れない。でも日本人は、みんなが「もう、いましかない。仕方がないよね」と思うときまで決めないですよね。
この3年間の検証を行うべき ~お金がどのように使われて、どれだけ効果があったのか
宮家)言い方は悪いけれど太平洋戦争も、誰が考えても「負けだ」というときになって、やっとやめました。やはりリーダーシップにおいては、正しいことをみんなが同じように考えるまで待たず、ある程度早く決めた方がいいのではないかと、個人的には思います。
飯田)リーダーシップとして。
宮家)でも、これで「よかったね。5類になったんだから、終わりだね」ではないと思うのです。行政として過去3年間、何をしたのか。なぜ2類から5類への移行がここまで遅れたのか。これでも早いと言う人もいるかも知れませんが、なぜこの時期になったのか。
飯田)なぜ遅れたのか。
宮家)いままでに一体いくらのお金を使ったのか。そのお金がどのように使われて、どれだけ効果があったのか、なかったのか。行政である限り、どこかで検証しなければならないことだと思います。
問題点があったのかどうかを検証して、将来につなげるべき
宮家)5月8日に引き下げるのは間違いではないと思いますが、なぜこれをいまやるのでしょうか? そして、いままでの経緯を考えたら、何がよかったのか、問題点があったのかどうか。問題点があるのであれば、それを指摘した上で「将来はこういうことがないようにしましょう」として、初めて1つの政策の終わりになるのではないかと思います。
飯田)おっしゃる通りで、お金も税金からたくさんつぎ込んでいます。
宮家)何兆円も使ったのでしょう? 何兆円だったら防衛費が出ますよね。
飯田)そういうことですよね。
宮家)それが悪いと言っているわけではないですよ。それも一種の防衛費ですから。
飯田)確かに。社会全体を防衛するという意味では。
宮家)しかし、防衛費についてはあれだけ大騒ぎするのに、「我々は湯水のようにお金を使ったのではないですか?」と思います。もちろん、新型コロナに関してはみんなが心配だったから、それは絶対にいいのですよ。お金の問題ではなく命の問題ですから。
飯田)必要なものだった。
宮家)でも、命の問題ではなくなったときには、「そうなの?でもね」という気が若干しますが、どうなのでしょうか。
全体の検証をしなければならない
飯田)やはり全体として検証しなければならない。お金の問題もそうですが、行動制限なども憲法上の権利を一部制限したので、それに関してきちんと立法し、プロセスを踏んで行われたかと言うと……。
宮家)立法がないからやったわけですよ。
飯田)世の中の空気を見ながら対応することに関しては、よし悪しの部分が両方あると思うのですけれど。
宮家)最近、危機管理について、ようやく医療においても危機管理監のようなものをつくるというニュースがありました。あれはあれでいいと思うのだけれど、大丈夫なのでしょうか。官邸には危機管理監がいるのですよね?
飯田)既にありますね。
宮家)そことの関係はどうなるのか。やはり「医療は私たちだけでやるのだ」となるのでしょうか。でも今回わかったことは、「医療関係者は必ずしも危機管理の専門家ではない」ということですよね。
飯田)医療関係者は。
宮家)それも含めて、やはり検証するべき時期に来ているし、問題があったとしてもある程度は仕方がないと思います。そういう前提で、ぜひ詳細に検証して欲しいですね。
飯田)東日本大震災のあとも、国会や政府、民間からも事故調査報告書が出てきました。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。