「H3」打ち上げ失敗 世界から遅れを取る日本の宇宙開発
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数量政策学者の高橋洋一が3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。打ち上げ失敗に終わったH3ロケットについて解説した。
H3ロケット打ち上げ失敗
日本の新たな主力ロケット「H3」1号機が3月7日午前10時37分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。しかし、第2段エンジンの点火が確認されず、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は約15分後、地上から指令破壊信号を機体に送り、打ち上げは失敗となった。文部科学省は原因究明のため、対策本部を設置した。
飯田)以前も小型ロケット「イプシロン」の失敗があっただけに、落胆が大きいと報道されています。「宇宙開発の岐路」と言われますが、どうご覧になりましたか?
高橋)残念ですね。2段目は従来のものと一緒なのでしょう?
飯田)H2Aロケットで使っていたものの改良型だということです。
第1弾ロケットにもトラブルか
高橋)考えられるのは、1段目のところから信号が届かなかったのかも知れません。全部1段目の話かも知れない。1段目にもいろいろとトラブルがあったでしょう。
飯田)1段目は新しくつくられており、開発でかなり難航したという話でした。
高橋)1段目の主軸がうまくいっていなかったと予想されますが、いろいろな意味で、究明には時間が掛かるでしょうね。
高性能センサーで災害把握などに期待されていた「だいち3号」が搭載
飯田)これまでは、日本の宇宙開発は成功率がとても高いと言われていました。
高橋)でも、衛星がなくなってしまったでしょう。
飯田)H3ロケット1号機には、地球観測衛星「だいち3号」が搭載されていた。
高橋)お金ももったいないけれど、(「だいち3号」が)なくなったのは大変ですよね。
飯田)もともと上がっていた「だいち2号」はレーダーのみで、広角カメラが付いたものをきちんと上げたいという悲願があったのですが。
世界から遅れを取る日本の宇宙開発
飯田)ロケットの打ち上げ等に関しては、アメリカは既に「スペースX」など、さまざまな会社が入って民間に委託しています。日本だとなかなかそうはいきませんね。
高橋)日本でも堀江貴文さんなどが頑張っているので、低軌道のものならできるのでしょうけれど、少し高いものはかなりの出力がないと無理です。低軌道であれば、2段もロケットを使わなくてもできてしまうから、簡単なのでしょう。ビジネスもそうですが、宇宙はいろいろな意味で展開の裾野が広い分野になっています。
飯田)特に、安全保障面でも問題になっていますね。
高橋)中国もさまざまなものを打ち上げているでしょう。
飯田)宇宙ステーション「天宮」をつくり、そこへ向けて人も送り込んでいるという話です。
高橋)宇宙がフロンティアになっているわけですから、日本にも頑張ってもらいたいと思います。いままで頑張っていたのですが、最近は失敗が続いているので、イメージも落ちています。国産ジェット機も撤退しましたし、三菱は大変ですね。
飯田)今回のH3ロケットは、三菱重工とJAXAが開発してきました。三菱重工は三菱リージョナルジェット(MRJ)が撤退に追い込まれています。
高橋)MRJもコロナ禍のせいでタイミングが悪かった気がしますが、不運続きですね。次期戦闘機のエンジンの話もあるでしょう。イギリスとイタリアとの共同開発なので大丈夫なのかも知れませんが、技術力はどうなっているのでしょうか。
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