ジャーナリストの鈴木哲夫が3月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織が示した「新たな健康習慣」について解説した。

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専門家組織がコロナ5類移行で感染防止の「5つの基本」を示す

新型コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織は3月8日の会合で、基本的な感染対策として個人に求められる「新たな健康習慣」を示した。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日から「5類」に引き下げられることに伴ったもので、マスク着用や換気、手洗いなど既存の感染対策を改めて「5つの基本」としてまとめ、今後の生活スタイルとして根付かせたい考えだ。

飯田）5つの項目は、「症状がある場合には無理せず自宅療養する」「場に応じたマスクの着用や、せきエチケット」「換気、3密回避」「手洗い」「適度な運動と食事」のようです。

換気が最も大事

鈴木）もう少し具体性が欲しいですよね。私は特に換気がポイントになると思っています。コロナ禍の初期は、パチンコ店で絶対にクラスターが起きると言われていましたよね。

飯田）あれだけ不特定多数が触るのだから、と言われていました。

鈴木）あとはタクシーです。タクシーには誰が乗っているかわからないため、運転手さんはもちろん感染するし、そのまま次のお客さんに感染するというようなことが言われていました。

飯田）最初のころはそう言われていました。

鈴木）ところが、実はパチンコ店でクラスターは起きていません。タクシーでも、運転手さんが感染したのは家庭内感染であって、お客さんとは関係ないことが多かった。2つともお医者さんなどは初期から言っていたのですが、「基本は換気」なのだそうです。

飯田）換気。

鈴木）パチンコ店はタバコなどが吸えることもあって、音がするくらい強力に換気しています。あれはかなりレベルの高い換気なのです。また、パチンコ店では1つ席を空け、みんな同じ方向を向いて黙って打ちますよね。

飯田）同じ方向を向いていますね。

鈴木）だからクラスターが起きないのです。しかし、最初は人が多くて密集しているから危ないというイメージでした。タクシーもそうですよね。いまでも窓を開けて換気しています。換気は極めて大事です。ですので、換気に関しても、もっと具体的にどんな形で行えばいいのか、もう少し掘り下げてみんなに知らせて欲しいと思います。

飯田）掘り下げて。

日本では公衆衛生学が根付いていない　～海外では大学の一般教養に公衆衛生学が入っている

鈴木）日本が今回コロナで学ばなければいけないのは、日本には公衆衛生学が根付いていないということです。

飯田）公衆衛生学。

鈴木）公衆衛生学の概念は、ただ健康なだけではなく、人とどのように一緒に暮らしていくか、企業のなかでどのように健康を保っていくのかなど、範囲が広いのです。海外では大学の一般教養に公衆衛生学が入っています。しかし、日本の一般的な文系大学に行ったとしても、公衆衛生学などはありません。

飯田）聞いたことがないですね。公衆衛生学と聞くと、医学部などの分野ではないかと思ってしまいます。

鈴木）そうですよね。日本では医学部や看護師になるための学校などでしか、公衆衛生学は学ばないのです。ところが海外では一般の授業としてあります。また、民間企業の総務関係の方なども教育を受けています。

基礎的な公衆衛生学があるので海外ではマスクなどの対応が早かった　～日本でも公衆衛生学を日常のなかに入れるべき

鈴木）それによって何が違うのかと言うと、常に先手を打てるのです。危機管理や、感染症に対してどんな体制を取ればいいのか、人をどのように入れなければいいのか、換気はどうなのか、なぜマスクをするのかという基礎的な考え方が、公衆衛生学で学べます。そのため、海外ではすぐにマスク関連の法律ができるのです。また、必要となればすぐに外すことができる。外す場合もすべてオッケーではなく、「このようなケースは外してはいけない」など、しっかりと決まっています。

飯田）基礎があるために。

鈴木）教室に1人でいる小学生が、窓を開けて換気しているし誰もいないのに、真面目にマスクをしている。しかし、公衆衛生学の教育を受けていれば、換気されていて人もいない、飛沫もない、人に迷惑をかけないのならば「外していい」と子どもでもわかるのです。日本でも公衆衛生学を日常のなかに取り入れたらいいと思います。