福島第一原発のいま ~現場からレポート

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東日本大震災から12年。「福島第一原発のいま」について内田雄基アナウンサーが取材。3月9日のニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」でレポートした。

福島第一原発のいま ~現場からレポート

廃炉作業が続く東京電力福島第一原発の3号機=2022年11月7日午後2時25分、福島県大熊町 写真提供:産経新聞社

福島第一原発構内に入り取材

飯田)福島第一原発の敷地内に入って取材してきたということですが。

内田)東北には以前も取材に行ったことがありましたが、今回、初めて原発内に入ることができました。入ってみて、「抱いていたイメージより廃炉が進んでいるな」と感じたのが印象的でした。以下は、原発内に入った様子をレポートしたものです。

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内田)私の前方、太平洋が見える海側を見ているのですが、約800メートル先に原子炉建屋1号機から4号機が見えます。その手前の空間には、横幅2キロ以上に渡って処理水を保管するタンクが立ち並んでいます。1つのタンクの高さは約15メートル、横幅約10メートルほどの円柱状の形です。このタンクが1066基、1基当たり1000トンほどの処理水で満たされています。

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福島第一原子力発電所内は線量が低く、軍手や長靴、ヘルメット、マスク、ゴーグルぐらいの軽装備で入ることができるグリーンエリアが96% ~除染が進んでいる

内田)レポートしたのは大型休憩所の屋上からでしたが、原発構内の西側にある場所で、全体を見渡せるようになっています。建屋があって、その奥に海が見えるような場所です。現在、福島第一原子力発電所内は線量が低く、軍手や長靴、ヘルメット、マスク、ゴーグルぐらいの軽装備で入ることができるグリーンエリアが、敷地の96%を占めています。

飯田)除染が進んでいるのですね。多くの人が抱いているイメージは、真っ白なタイベックスーツを頭から足の先まで着て、ゴーグルとマスクも着用しなければいけない。線量計も付けて、時間になったら出て行かなければいけないというイメージでしたが、そういうところは本当に限られるような状態ですか?

内田)そうですね。私はほぼ私服のような感じでした。

飯田)そうですか。大分、変わりましたね。

建屋の30メートル手前まで軽装で行くことができる

内田)最も驚いたのは、建屋の30メートル手前までその格好で行けることでした。原発事故が起き、以前は30キロ以内に人が入れない状態でしたが、それが30メートルになっているというのは、体感として除染・廃炉が進んでいるのだなと感じました。

飯田)私が取材に行ったのはずいぶん前の話で、当時はまだタイベックスーツを着たまま、建屋の近くまでは車で行けるけれども、「絶対に降りないでくださいね」というような感じでした。

新行市佳アナウンサー)飯田さんが取材に行ったのは2015年でしたよね?

飯田)そうですね。まだ汚染水をどうするか、というところでタンクが建てられ、何だかコンビナートに来たような雰囲気の時代でした。

処理水タンクは1000基以上 ~処理水を海洋放出する方針が決定

内田)処理水のタンクは1000基以上あります。施設と施設の間を、まるでキノコが生えているかのようにタンクが立ち並び、埋め尽くしていました。現状、既に9割5分ほどがALPS処理水で満たされているということです。

飯田)多核種除去設備(ALPS)は、ほとんどの放射性物質を取り去ることができるのですよね?

内田)そうですね。トリチウムという放射性物質以外は取り去ることができます。トリチウムだけは技術的に取り去ることが難しいのですが、非常に弱い放射線を発する物質ですので、ある程度希釈すれば大丈夫だと言われています。

飯田)希釈すれば影響はない。

内田)雨の量にもよりますが、2023年秋にも処理水のタンクは満杯になってしまうという状況です。これをどうにかするため、政府は海洋放出を行う方針を決めました。

護岸から1キロ離れた沖合に海底から処理水を放出 ~処理水放出関連の設備は6月ごろ完成の予定

内田)現在、ALPS処理水の放出設備が建設されていて、2022年8月4日に着工し、8割ほど完成しています。見学した際も、まさにいま工事中という感じで、多くの作業員の方が作業していました。わかりやすいところで言うと、ALPS処理水を実際に出す放出口は、原発や護岸から1キロ離れたところにあり、沖合の海底から放出します。そこまでつなぐトンネルを現在、掘削しているのですが、1キロのうち830メートルほどまで掘削が終わっている状況です。

飯田)8割以上が終わっている。

内田)海沿いにはALPS処理水放出関連の設備がたくさんつくられている最中、または完成して動作前の検査を行っているような状況です。6月ごろまでには工事をすべて終えると東京電力は説明しています。

トリチウムは国の基準の40分の1、WHO飲料水基準の7分の1まで希釈して放出

飯田)処理水の放出に関しては、いろいろ報道されています。地元漁業者の方が反対していると大きく報じられることもありますが、地元漁業者の方に話を聞くと、処理水の放出そのものより、問題は風評被害なのだと言います。この辺りの対策は何か聞きましたか?

内田)東京電力「廃炉カンパニー」の松尾さんに話を伺いましたが、東京電力としては、トリチウムならトリチウム、セシウムならセシウムに関する国の基準を守っているということです。

飯田)それぞれの基準を守っている。

内田)特にトリチウムは除去できないため、懸念される方は多いと思いますが、国の基準の40分の1、そしてWHO飲料水基準の7分の1まで希釈して放出されます。基準はしっかりと守っているため、安全の意味では問題ないということです。

構内ではALPS処理水を添加した海水と通常の海水でヒラメやアワビなどの海洋生物を飼育 ~その映像をYouTubeで24時間ライブ配信

内田)ただ、周りの人たちにとっての安心という意味では、これからも説明を続けなくてはいけないと話していました。一度説明したから終わりではなく、何度も国内外に説明しなければいけないと。

飯田)何度も。

内田)東京電力は説明の1つの積み重ねとして、構内でALPS処理水を添加した海水と通常の海水で、ヒラメやアワビなどの海洋生物を飼育しています。その映像とデータを常に公表し、映像に関しては、東京電力のYouTubeチャンネルで24時間ライブ配信しています。少しでも周りの方に安心していただこうと取り組まれています。

飯田)何か異変があれば、リアルタイムで目に見えるということですね。

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