治療薬のない「はしか(麻疹)」に罹らないためには
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神奈川県衛生研究所・所長の多屋馨子氏が4月3日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。はしかの症状について語った。
体育館や講堂などの広い部屋でも感染してしまう「はしか(麻疹)」
飯田浩司アナウンサー)はしか(麻疹) について教えていただきたいのですが、どういう感染症なのでしょうか?
多屋)はしかはとても感染力が強い病気で、麻疹ウイルスに感染すると発症します。感染症のなかでも感染力が最も強い部類に入ります。体育館や講堂などの広い部屋であっても、発症した方と同じ部屋にいるだけでうつってしまう、空気感染する病気なのです。
10日~12日くらいの潜伏期間のち発熱
多屋)感染すると、10日~12日くらいの潜伏期間を経て熱が出てきます。そして、咳や鼻水が出てくる。それが数日間続いたあと、粘膜疹と言いますが、口のなかに白いブツブツが出てきます。ここが厄介なところなのですが、それができたころに熱が一旦下がるのですね。
飯田)そうなのですか。
多屋)「治ったのかな?」と誤解してしまい、仕事や学校に行ってしまうと、そのときがいちばん人にうつしやすい時期なので、人に感染させてしまうのです。
やがて赤い発疹が全身に
多屋)そのほぼ翌日から、さらに高い40度くらいの高熱になります。咳や鼻水も酷くなって目が真っ赤になり、目やにも出て苦しい状態になります。そうすると体中に赤い発疹が出てきて、1日のうちに全身に広がっていきます。
飯田)赤い発疹ができる。
多屋)罹ってしまうと重症になり、肺炎や脳炎などを起こすこともある、命に関わる病気です。感染すると、ほぼ皆さんが発症してしまいます。
はしかの特効薬はない
新行市佳アナウンサー)治療法はどうなりますか?
多屋)治療法は残念ながらないのです。
新行)ないのですね!
多屋)はしかはウイルスが原因の病気なので、抗菌薬は効きません。インフルエンザには抗ウイルス薬などの特効薬がありますが、はしかにはないのです。
飯田)はしかに罹った人は、免疫的なものは獲得できるのですか?
多屋)免疫はできます。2回は罹りません。
はしかと風疹が混ざったMRワクチンを2回接種
飯田)予防接種を行うのでしょうか?
多屋)予防接種がとても有効な病気で、風疹という別の病気が混ざった混合ワクチンがあります。それを2回受けていれば罹らずに済みます。
飯田)2回受けていれば。
多屋)現在の制度では、1歳のときに1回目を受け、小学校に入学する1年前に2回目を受けます。この2回を受けていればいいのですけれど、最近、お子さんの1回目の接種率が、15~16年前くらいのかなり低い接種率に下がっているのです。
飯田)1回目の接種率が。
多屋)小学校入学の1年前に予防接種を受けても、(1回目を受けていなければ)罹ってしまう心配があります。
飯田)そうなのですね。
多屋)大人の方で「ワクチンを受けたかどうか覚えていない」という方がいらっしゃいますが、母子健康手帳に記録が残っていますので、母子健康手帳を確認してください。記録がない場合は受けていないということです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます