経済アナリストのジョセフ・クラフトが5月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。8月から他社クレジットカードの利用を停止するPayPayについて解説した。
スマートフォン決済のPayPay、他社クレジットカードの利用を8月から停止へ
スマートフォン決済のPayPay(ペイペイ)は5月1日、他社クレジットカードの利用を8月から停止すると発表した。今後はPayPayが発行するクレジットカード「PayPayカード」のみを対象とする。
飯田)登録済みの他社クレジットカードは、2023年8月1日に解除される予定です。ただ、PayPayカード・PayPayカードゴールド会員や、銀行口座チャージ、現金チャージを利用する場合は影響がないようです。
クラフト)当初の戦略としては、なるべく多くの利用者を囲い込んで、事業を広げようという思惑だったと思います。そして利用者がある程度増えたため、今度は顧客の囲い込みという戦略に移ったのではないでしょうか。
伏線としてあるのは日銀によるデジタル通貨への動き
クラフト)もう1つ、PayPayと直接関係はないのですが、伏線としては、日銀によるデジタル通貨への動きもあります。
飯田)デジタル通貨。
クラフト)正式にデジタル通貨を発行するかどうかはまだ不透明ですが、各国、中央銀行が自国のデジタル通貨の準備をしています。その際にPayPayのような業者が絡んでくるのではないかと思います。
飯田)前日銀総裁の黒田さんが退任直前の講演のなかに入れ込んできて、市場が一瞬反応した時期がありましたよね。
クラフト)実はデジタル通貨の準備は、日本を含めて2年前から欧米では行われています。それがある程度形になってきて、いつ発行するのか、あるいはしないのかという段階にきているのです。中国が既にデジタル人民元を進めている以上、日本を含む西側もいずれ対応しなければならないのです。その実現に近づいているような雰囲気はありますね。
デジタル通貨の決済にはスマホ決済業者を銀行のように間に入れる
飯田)例えば、日銀がデジタル円を発行する。それを直接、決済のやりとりに使うというよりは、スマホ決済業者をある意味、銀行のように間に噛ませる形になるのですか?
クラフト)そうではないかと推測しています。直接、日銀が発行することになると、マンパワーなどいろいろな問題があります。
飯田)日銀がアプリをつくって、「デジタル円はこれで決済してください」というようなことをやるのは難しい。
クラフト)それでアプリが不具合を起こしたりすると、大変な混乱が起きますから。
飯田)信用問題になりますからね。
インフラができているスマホ決済業者を使い、ワンクッション置く
クラフト)だから、インフラがすでにできているPayPayのような業者のシステムを使い、彼らが発行することによってワンクッション置くようなイメージで動いているのではないでしょうか。
飯田)デジタル通貨の利点として、決済や資金移動に関する手数料がほとんどいらないし、即時に使えるようになりますよね。
クラフト)そうなのです。それに関してはメガバンクも動き始めていて、三菱UFJ銀行が店頭での振込手数料を990円に引き上げると発表しました。
飯田)振込手数料を。
既に紙幣を使っていないスウェーデン
クラフト)手数料を上げるわけです。ただ、デジタルバンキングは据え置きなので、顧客をアナログからデジタルに移行させようとしているのでしょう。直接は関係ないのですが、すべてを含めると、デジタル通貨への移行の前段階ではないかと、個人的には推測しています。
飯田)いまは通貨発行量など、ほとんどがデジタルデータ化されているとは言え、それが前提になっています。その辺りもすべて数字で管理し、必要な紙幣は少しだけ出すような流れになりますか?
クラフト)徐々にその方向へ動くと思います。
飯田)最終的に紙幣はなくなるのでしょうか?
クラフト)スウェーデンでは、紙幣はまったく使われていません。紙幣を使わないということは、コロナ禍のような状況でも接触がなく、いろいろな意味で利点があります。
飯田)私の子どもも、使う機会をつくらないとコインを使わないですからね。既に子どもたちは適応しているのかも知れません。
クラフト)実際にそのトレンドに入ったのだと思います。
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