東京都医師会理事で「西田医院」理事長の西田伸一氏が5月18日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。介護施設の違いについて解説した。
施設類型が多く、複雑な日本の介護施設
飯田浩司アナウンサー)今回は施設に入った場合の介護について伺います。コマーシャルなどを見ても、いろいろな施設の名前が出てきますが、一口に「老人ホーム」と言った場合、どのような区分けがあるのでしょうか?
西田)日本は現状、施設類型が非常に多いです。例えば「老健」と呼ばれる介護老人保健施設。それから「特養」と呼ばれる特別養護老人ホーム。あとは認知症グループホームや、介護付き有料老人ホーム、さらにはサービス付き高齢者向け住宅、生活困窮者向けの軽費老人ホームなどもあります。
飯田)いろいろとありますね。
西田)高齢化の先輩国であるデンマークでは当初、たくさんの類型があったのですが、すべて特別な施設として1つにまとめました。おそらく日本もそういった方向に進まなければいけないのですが、いまはわかりにくい類型が多いですね。
大規模な特別養護老人ホームでも多くの場合、医師は非常勤が1人だけ ~費用は安いが「100人待ち」などのところもある特別養護老人ホーム
飯田)このなかで費用面に注目したとき、特別養護老人ホームが出てきますが、注意点などはありますか?
西田)特別養護老人ホームは半分公的なバックアップもある類型です。役割として、現状は要介護3以上の方を対象に、終の棲家の位置付けになっています。公的な部分があるので入居費が割と安く済みます。
飯田)比較的安い。
西田)ただし多くの場合、看護師さんは昼間しかいませんし、医療については非常勤の医師が1人しかいません。入所者が100人クラスの大規模なところが多いのですが、非常勤の医師が1人。そのなかで要介護3以上の方の終の棲家ですから、ギャップが生じてしまっている現状があります。
飯田)医療的ケアも必要で需要はあるけれど、見合うだけの供給がない。
西田)そうですね。これから少し制度を変えていく必要があると思います。
選択肢が多く、すぐに入居できるが費用が高い介護付き有料老人ホーム
新行市佳アナウンサー)介護付き有料老人ホームはどういう場所ですか?
西田)ほとんど私立の運営になります。特養は比較的安いので「100人待ち」など、入所待ちが多いのです。都心部ではほとんどそういう状況です。
飯田)100人待ち。
西田)介護付き有料老人ホームは次々と新しいものができていますから、そういった意味では選択肢も多いですし、急ぎの場合はすぐに入れるところが多いです。ただ、どうしても特養と比べると入居費が高い。月々の費用と入居時の費用が高くなっています。プライベートなサービス業者ですから、その分、医療・看護のサービスも充実させているところが多いです。
飯田)最初に払う入居費や月額の費用は、都心だと高くて地方だと安いというような地域差はありますか?
西田)あります。
飯田)その分、個別の対応をフレキシブルにしてもらえるのかも知れませんけれども。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます