数量政策学者の高橋洋一が5月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。衆院本会議で可決された防衛費増額の「財源確保法案」について解説した。
防衛費増額の「財源確保法案」、衆議院本会議で賛成多数で可決
防衛費増額の財源確保に向け、税金以外の収入を活用する「防衛力強化資金」の創設などを盛り込んだ法案が、5月23日の衆議院本会議で自民・公明両党などの賛成多数で可決された。24日の参議院本会議で法案の趣旨説明と質疑が行われ、政府・与党は6月21日の会期末までに確実に成立させる考えだ。
飯田)防衛力強化資金や、歳出改革なども入っています。「それができなければ税金」という方針も盛り込まれているのではないですか?
高橋)盛り込まれていますね。(衆議院財政金融委員会と安全保障委員会の連合審査会の)参考人として呼ばれた際、「なぜ増税しなければならないのですか?」と財源を4つほど並べて、「こうすれば増税しなくてもいいのではないか」と言ったのですが、関係ないですね。
いろいろな財源を合わせると出てくる「増税」が隠されている
飯田)ただ、防衛力強化資金などが前面に出てくると、「増税しなくても防衛費を上げることができるのか」と思ってしまいますよね。あるいは増税が隠れているような……。
高橋)隠れています。中身にきちんと書いてはいないのだけれど、いろいろな財源を組み合わせると出てくるのです。
次の年度の予算になるので、いま選挙すれば「財源は幅広く検討します」と言える
飯田)予算としては次年度予算になるので、編成が具体的になってくると、「あれ? ここに増税と書いてあるのですが」というような。
高橋)先のことだからわからないのです。こういうことも多分、早く選挙したくなる要因の1つです。いま選挙を行ったら、よくわからないではないですか。見えることは見えるのだけれど、「本当に増税ですか?」と聞いても、いまなら「いや、財源は幅広くいろいろと検討します」と言えるのですよ。
飯田)まだ具体的に予算編成を行っていないから。
高橋)やっていないから言えるのです。本当に増税が明らかになってしまったら言いにくいでしょう。
「こども特例公債」 ~償還の財源は税金か社会保険料
高橋)おそらく、やり方は少子化対策でも同じですよ。「他の財源で歳出改革をやります」と言うけれど、最後には増税が入っている。
飯田)読売新聞が1面で出していますが、「こども特例公債を発行へ」という話もあります。
高橋)その特例公債は、私たちが言っている将来投資のための国債ではなく、いわゆる「つなぎ国債」で、復興増税のときに使ったようなものです。要するに、それを出したら増税か社会保険料なのです。
飯田)結局、まずはお金を工面するためにこれを出すけれども、すぐに償還しますと。償還の財源は将来の税金、ないしは社会保険料で対応する。
「こども特例公債」は増税国債 ~1~2年で増税となる
高橋)基金や特別会計をつくると、こういう形になるのです。当面、1年~2年間ぐらいは違うというだけの話で、だまされてはいけません。私たちが言っている本当の「こども国債」は将来投資の国債だから、増税になるにしても長くゆっくりで、ほとんど負担にならないのです。しかし、今回の特例公債、つなぎ国債はおそらく1年~2年で増税となります。
飯田)論理としては、子どものために将来投資をすることになると、お子さんが将来大きくなって納税するようになるまで、大体15年~20年ぐらい掛かる。
高橋)私たちが言っているのは10年~20年の増税の話です。これは1年~2年だから全然違います。なぜなら将来投資ではないですから。いまの世代が全部負担しなければいけない。私たちが言っているこども国債とは、その子たちが大きくなって働くようになり、稼いで返すというもので、全然違います。
飯田)同じような名前がついているけれど、概念が全然違う。
高橋)紛らわしいことをやるなと思いました。これははっきり言えば増税国債ですよ。
増税となると足元の経済がまた冷えることに
飯田)やはり増税という話になると、引き締め策になって、足元の経済がまた冷えてしまう。
高橋)そうですね。だいたい東日本大震災の復興特別所得税で、まだずっと増税しているでしょう。
飯田)それを今度は子育ての財源にするのか、あるいは防衛費の財源にするのかというような話まで出る始末ですから。
高橋)予算編成で姑息なやり方をしていますね。
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