親の介護の準備 何から始めればいいのか?
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東京都医師会理事で「西田医院」理事長の西田伸一氏が5月19日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。親の介護の備え方と注意点について解説した。
介護は1人で抱え込まない ~介護する人の心のゆとりが必要
飯田浩司アナウンサー)介護する側が体調を崩すという話もよく聞きます。現場でご覧になっていて、そのような人は多いですか?
西田)とても多いですね。
飯田)担い手としては、現役世代の配偶者の方などが多いのですか?
西田)最近、社会問題になっている「ヤングケアラー」など、お子さんが介護をしなければならない場面もあります。家族を構成する人数が少ないという、いまの社会構造が原因だと思います。
飯田)「介護疲れ」という言葉を新聞などでもよく見ますが、さらに進むと介護鬱になる可能性もありますよね?
西田)そのような方もおられます。あまり1人で抱え込まず、思い込まないで、適当に力を抜いていただく。いい加減なわけではなく、結局は介護される側の親御さんのためにもなります。他力本願でいいのです。介護する方の心のゆとりが必要で、それは必ず親御さんにも跳ね返ってきます。
介護に備え、事前に家族でよく話し合い、意識を共有しておくことが大事
新行市佳アナウンサー)これからの介護に備えるためには、どんなところから手を付けていったらいいですか?
西田)「親が突然、重病になって自分の意思表示ができなくなったら、私たち子どもはどうすればいいの?」と聞く機会を持っていただければと思います。改めて介護内容について用意周到に話を始めると、本人はやはり楽しくないですよね。
飯田)そうですよね。
西田)そこは機を見ながら、軽く話に入れるような機会をつくっていただきたいと思います。それと同時に本人抜きで、ご家族内での協議も十分やっていただきたいです。
飯田)家族内でよく話し合う。
西田)病気によっても、その場の環境や状況で家族ができることは変わってきます。臨機応変に対応できるよう、何かを決めるのではなく、意識を共有しておくことが大事だと思います。
介護保険と成年後見制度を活用する
飯田)最後にメッセージをお願いします。
西田)親が要介護状態になり始めたら、役所に1枚の申請書を出すだけですので、早めに介護申請をしていただきたいと思います。
飯田)まずは介護申請を行う。
西田)今後の病状や生活能力がどうなっていくのか、それに対してどのような支援方法があるのか、ケアマネージャーと主治医に相談してください。介護ストレスが溜まらないように、とにかく1人で抱え込まない。できるだけ公的支援を有効活用していただきたいです。
飯田)ケアマネージャーと主治医の方に相談する。
西田)親の顔は、介護する家族の表情の鏡と思ってください。介護する方が厳しい表情なら、親も厳しい表情になります。それによって認知症のある方は精神的にも不安定になっていきます。
飯田)なるほど。
西田)介護する方は肩の力を抜いて、適当に息抜きしながら、自分の健康も維持する。長丁場にも耐えられるよう、専門家の意見を聞きながら対応していただきたいと思います。
飯田)専門家の意見を聞きながら。
西田)周囲の皆さんは、介護する方のことをとても心配しています。自宅での介護が困難になったら、施設の利用も考えてください。経済的なことにつきましては、「成年後見制度」があります。介護保険との両輪になっていますので、そういう制度も活用していただきたいです。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます