「停戦協議」の可能性も クリミア奪還に向けたウクライナの反転攻勢
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ジャーナリストの須田慎一郎が5月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢とそれをめぐる各国の動きについて解説した。
クリミア奪還に向けて反転攻勢が行われるか ~膠着状態に陥り「停戦協議」の可能性も
飯田)ウクライナ情勢では、「ウクライナの反転攻勢がいつになるか」と言われています。
須田)「いつ」反転攻勢するかが問題なのであって、もう反転攻勢の準備は着々と整えられているのです。部隊の展開はほぼ公開情報になってしまっています。
飯田)部隊の展開が。
須田)いま反転攻勢するために、ウクライナサイドは合計で新たに9旅団を編成していると言われていますが、そのうちの3分の2である6旅団が「どこに迫っているのか」は、双方の公開情報でほぼ明らかになっています。あとはタイミングの問題ではないでしょうか。
飯田)あとはタイミングの問題。
須田)それを見てわかるのは、東部の方はロシア軍の防御態勢が盤石なので、南部の方、クリミア奪還に向けた作戦行動が行われる可能性があります。
飯田)焦点になるのはクリミア。
須田)東部はロシアが押さえて、クリミア奪還となれば、場合によってはゼレンスキー大統領やプーチン大統領がどう判断するかわかりませんが、膠着状態に陥って「停戦協議」という流れになるかも知れない。それがある意味での、考えられるベストシナリオではないでしょうか。
支援疲れを払拭させるための象徴となったアメリカからのF16の供給支援
飯田)G7広島サミットでゼレンスキー大統領が来日しました。ウクライナ側はこれまでも戦闘機の供与を求めてきましたけれど、あのタイミングでバイデン大統領から訓練、そして供与も行われるという話が出ました。
須田)F16戦闘機は象徴的なのです。ウクライナが自力で武器や弾薬を確保することは不可能であり、西側の支援疲れが見えてきているなかで、「もう1回ウクライナ支援に向けて結束してもらいたい」という意図があったのではないかと思います。
ロシアへのメッセージとなったインド・モディ首相とゼレンスキー大統領の会談
飯田)また、G7ではインドなど、ロシアに近い国とも会いました。
須田)インドのモディ首相と会ったのは大きいと思います。ただ、インドも内部情勢を詳細に見ると、インド軍が使っている武器や弾薬の約7割はロシア製なのです。
飯田)約7割は。
須田)インドは1991年にソビエト連邦が崩壊するまで、全面的に旧ソ連に依存していたわけです。ソ連崩壊で混乱し、その穴を埋めたのがアメリカです。特にインドが困ったのは武器の部品でした。
飯田)武器そのものよりは、部品の部分が。
須田)部品が入ってこなくなり、インドの軍関係者はロシアまで行って、自分で調達していた。そういう状況で、徐々にアメリカ製に入れ替えたのだけれど、それでも7割はロシア製です。ですから、ここでロシアとの関係を切るわけにはいかないというインドの立場がある。とは言ってもゼレンスキー大統領と会ったことは、それなりのメッセージになります。
飯田)ロシアに対する。
須田)インドが「ガラッ」と白黒を決めることはありませんが、徐々に行動に変化が出てきたとは思います。
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