健康診断のデータをかかりつけ医と共有することの重要性
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東京都医師会理事で「葛西中央病院」院長の土谷明男氏が5月24日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。医療機関におけるデータ共有について語った。
患者が健康なときとの比較は大事
飯田浩司アナウンサー)かかりつけ医について、健康なときはお医者さんにかからなくてもいいと考えている方が多いかも知れません。制度上、難しいところがあるにせよ、お医者さんたちは健康なときから患者さんを見ておきたいのでしょうか?
土谷)そうですね。
飯田)病状の変化を診たいというところですか?
土谷)健康なときはどうだったのか、いま調子が悪くなっている状態はどうなのか。そこを血液検査などで比較したいと、どの医者も思うのではないでしょうか。
飯田)逆に言うと数字だけで診ることはできないし、人によって病状も違うのですか?
土谷)数字も大事ですが、「元気があるか、ないか」を数字だけで評価するのは難しいですね。そういった点でも、顔を見ておくことは大事だと思います。
飯田)数字だけではわからない。
土谷)健康かどうかは自覚だけだとわかりませんので、職場や自治体で行っている健康診断を受け、自分である程度、把握していただきたいですね。
健康診断のデータはかかりつけ医と共有するべき
飯田)制度上、健康診断のデータを即座に共有することはできず、患者さんに持ってきてもらわなければならない。かかりつけ医がいるなら、「先生、健診でこんな感じだったよ」と持っていけばいいのですか?
土谷)ぜひ持ってきて欲しいですね。
飯田)普段のデータの蓄積が大切になる。
土谷)そうですね。具合が悪くなって病院に来た場合、どこが悪いのか調べるためにレントゲンを撮ったり、血液検査をします。それが客観的な評価になるわけですけれど、健康時のデータとの比較は大事です。
1年に1回は健康診断を受け、自身の状態を自覚することが重要
飯田)若い人のなかには、かかりつけ医がいない方も多いと思います。そもそも1年間で1回も病院に行かない方がいるかも知れない。それならそれでいいことなのでしょうか? あるいは健康であっても、1年に1回ぐらいは行っておいた方がいいのですか?
土谷)個人的な考えになりますけれど、健康であれば、必ずしも病院には行かなくてもいいと思います。ですが、健診については、年に1回は受けて欲しいですね。それによって自分の状態を自覚することは重要だと思います。
医療機関同士の医療連携は進められているが、情報の連携は遅れている
飯田)引っ越しや転院などで、いろいろなクリニックや病院で診てもらうのが一般的ですけれども、症状や検査・診断などをお医者さんたちで共有する仕組みなどは、徐々に進んでいるのでしょうか?
土谷)少しずつ広がっています。「医療連携しましょう」となったときに、大事なポイントは2つあります。その医療機関同士で連携できる関係があるかということ。それから、連携するときの医療情報の共有ができるかどうかです。
飯田)連携できる関係か、情報を共有できるか。
土谷)いまは「医療連携を進めましょう」と言っていますが、前半の方の、いわゆる顔の見える連携はつくっているところです。しかし、もう一方の情報共有については、まだまだ日本は遅れています。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます