キャスターの辛坊治郎が6月1日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。衆院選挙区「10増10減」に伴う候補者調整を巡り、公明党の石井啓一幹事長が「東京での自公の信頼関係は地に落ちた」と発言し、連立政権の自民党と公明党の間の亀裂が表面化したことについて、「公明は選挙をしたくないようだ。出来レースではないか」と持論を展開した。
公明党は5月31日、次期衆院選に向けて、北海道10区と関西6つの選挙区に擁立する公認候補者の計7人を決めた。公明党はこれまで、関西で日本維新の会と協力関係にあり、大阪と兵庫の計6つの小選挙区で議席を得ているが、日本維新の会の馬場伸幸代表が4月の統一地方選の後、公明党との関係を一度リセットすると明言したことで、公明党と日本維新の会の駆け引きが激しくなっている。
辛坊)日本維新の会の看板政策だった「大阪都構想」を実現するためには、2つのハードルがあり、1つは法改正です。法改正には、与党の協力が必須です。ただ、維新は自民党との関係が比較的よいです。維新はもともと母体が自民だということもあり、親和性が高いのです。このため、ハードルの1つはクリアしていました。
もう1つのハードルは、大阪市の住民投票で市民の過半数の賛成を得ることです。しかし、1度目の住民投票で過半数の賛成は得られませんでした。その背景には、公明党の協力を得られなかったことがあります。維新は当時、大阪市議会で過半数の議席を持っておらず、公明のおかげで住民投票の実施にこぎつけることができました。ただ、公明からすると、住民投票で組織的に賛成票を投じるところまでの義理はないわけです。
そして、2度目の住民投票です。ここでも公明の協力が必要になりました。そこで、公明が求めた見返りが、衆院選での維新との選挙区調整です。公明は既に、連立政権を組む自民と大阪の小選挙区で選挙区調整ができており、公明だけが候補者を立てる選挙区が4つありました。その4つの選挙区に維新も候補者を立てないことを約束させたわけです。その結果、この4つの選挙区の有権者には事実上、公明か共産党かの選択肢しかなくなってしまいました。
ところが、今年春の統一地方選で、状況が大きく変わりました。維新が大阪府議会と大阪市議会で、いずれも過半数の議席を獲得したからです。これにより、維新は何をやるにしても公明の協力は必要なくなったわけです。維新は国会でも今後、勢力を伸ばしたいと考えています。そうした状況から、維新は次期衆院選で、公明が議席を持つ大阪の4選挙区、さらに兵庫の2選挙区の関西6選挙区に候補者を立てようと狙っています。
維新は「有権者にとって公明と共産の選択肢しかない状態を放っておくことは、公の政党として責任を果たせない」と正論を掲げるでしょう。これは確かに正論ですが、公明からすれば「ふざけんな、こらっ!」という感じでしょう。私が公明の立場なら、維新の馬場伸幸代表の寝首をかきに行きますよ。
そうした状況の中で、公明と東京の自民の間で大げんかが勃発しました。特に、公明の石井啓一幹事長は「東京での自公の信頼関係は地に落ちた」と言い放ちました。自公連立を解消する気はないのに、なぜそこまで言ったのでしょう。私の見るところ、選挙をしたくないという意思表示なのだと思います。出来レースなのではないかという気がしますね。公明としては、支持者に統一地方選の選挙疲れが残っているので、次期衆院選を先延ばしにしたいところでしょう。「岸田さん、解散やめてよ」というのが本音だと思いますよ。
解散総選挙は、いつになるのでしょう。前回の衆院選は2021年の10月ですから、まだ1年半くらいしかたっていません。国会の解散は国会議員をクビにすることですから、そう簡単にはできません。ただ、ここにきて、きな臭くなってきた感じがします。
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辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)