コロナ禍での経験を「近未来の東京の医療」へ活かすにはどうするべきか

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が6月8日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。近未来のTOKYO医療について語った。

コロナ禍での経験を「近未来の東京の医療」へ活かすにはどうするべきか

※画像はイメージです

近未来の東京の医療が前倒しで来たコロナ禍

飯田浩司アナウンサー)東京都医師会が設置した、医療提供体制の抜本的な改革などを幅広く検討することを目的とする「TMA近未来医療会議」について伺います。そこでの議論の様子をまとめた『近未来のTOKYO医療に希望はあるか?』という書籍も刊行されました。この本の序章で、コロナ禍における医療状況は「近未来の東京の医療が前倒しで来た」とご指摘されていますが、危機感は相当強かったのでしょうか?

尾﨑)コロナ患者さんが急増し、医療機関にかかれない、入院できない方々が出ました。また、在宅で苦しんでいる方に対しても、十分な在宅医療が提供できなかった状況がありました。

今後、高齢者が増え、コロナ禍と同じ医療状況になる可能性も

尾﨑)今後は高齢者が増え、認知症を含めた複数の病気を抱え、体が弱る人が多く出ると思います。そうした方が急性期の病気になり、多くの人々の入院が必要になれば、同じような状況になる可能性が出てきます。

飯田)高齢者が増えて。

尾﨑)コロナではないのだけれど、コロナ禍と同じような状況になり、入院させたいけれどできない。あるいは在宅診療で対応する場合、コロナ禍でつくった24時間対応できる仕組みを応用していくわけですが、それもまだ十分にできている状態ではありません。

飯田)まだ十分に仕組みができているわけではない。

尾﨑)「近未来にどんなことが起きるか」と考えた場合、コロナ禍で経験したようなことが起きるのではないかと想像できます。

コロナ禍での経験を「近未来の東京の医療」へ活かすにはどうするべきか

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

予防の段階からかかりつけ医が関わっていく

尾﨑)どう対処したらいいのかと言うと、今後は生まれたときから亡くなるまで、まず病気にならないための予防から地域医療が関わっていく。

飯田)病気にならないための予防から。

尾﨑)そうすれば病気がない人でも、予防に関しては相談しているので、「あの人が私のかかりつけ医です」と言うことができます。

飯田)病気ではない人でも。

尾﨑)その方を小さいころから見守る。「24時間、何かがあったら対応する」というのがかかりつけ医に求められる機能なのですが、それを1人のドクターが行うことは現実的には難しい。

7人のドクターが1人の患者を1日ずつ担当して24時間診る ~入院時は近所の病院と連携

尾﨑)私がいま考えているのは、東京のようにいろいろな専門の先生が集まって開業しているような地域では、グループでその方たちを診るということです。

飯田)グループで。

尾﨑)例えば7人で診る形にすれば、1人の先生が「きょうは私が24時間診ます」となって、あとの6日はその方々と一緒に分けて診ることができます。

飯田)なるほど。

尾﨑)入院が必要になったときも、近所の病院で「私たちが責任を持って入院させます」という仕組みがあれば、住民の方々も安心です。

飯田)安心ですね。

尾﨑)グループでかかりつけ医の力を発揮しながら、地域の病院と一緒になって患者さんを診ていく。今後は、そこに予防も関与する仕組みをつくっていきたいと考えています。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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