「ヤマト運輸と日本郵便の協業」はポジティブに考えるべき
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地政学・戦略学者の奥山真司が6月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ヤマト運輸と日本郵便の協業について解説した。
「物流の2024年問題」自動車運転の業務に対して、時間外労働の上限規制が適用 ~2030年には、営業用トラックの輸送量のうち約35%が運べなくなる
飯田)ヤマト運輸と日本郵便が、メール便や小型荷物の配送で提携を発表しましたが、どうご覧になりますか?
奥山)基本的にポジティブに捉えなくてはいけないと思います。「物流の2024年問題」をご存知でしょうか? 働き方改革関連法によって2024年4月1日以降、「自動車運転の業務」に対して、時間外労働の上限規制が適用されるのです。
飯田)働き方改革の一環ですね。
奥山)それにより、2030年には営業用トラックの輸送量のうち、約35%は運べなくなるという試算が出ています。
飯田)約35%。
奥山)これまで、デフレの世の中だったこともあり、我々は「それほど輸送にコストはかからないのではないか」という意識がありました。
人手不足から物流の効率をよくしなければならない状況に
奥山)物流業界で働いているドライバーの方々や、運送会社にもかなりコストのしわ寄せがあったと思います。
飯田)コストのしわ寄せが。
奥山)ところが現在は人手不足で、働いている方の時間も限られてくるので、物流の効率をよくしなければいけない状況です。人類の歴史を振り返ると、パンデミックなどが起きたあとは、人手不足になるではないですか。
飯田)そうですね。
奥山)その際、物流に関わる労働層の地位が上がってきたという歴史があります。人手不足によって賃金が上がり、労働者たちの社会的地位も上がるのです。
飯田)社会的地位も上がる。
奥山)このような形で運送業界にショックが起こり、「物流がなくなってしまう」と言われたとき、彼らの待遇をよくする方向に行かざるを得ない部分もある。ここはポジティブに捉えたいですね。
飯田)ポジティブに。
奥山)日本社会が「物流についてしっかり考えなくてはいけない」と捉える契機になればいいと思います。
これを契機に待遇改善や社会的地位の向上につなげていって欲しい
飯田)物流に関して、トラックが長期間待機させられていることや、ものを運ぶだけの仕事のはずが、納品や商品の陳列までさせられているなど、いろいろな問題が浮き彫りになっています。でも、この30年間くらいは問題にもなっていなかったわけですよね。
奥山)これからは問題になるはずです。ここで一気に待遇改善や、社会的地位の向上につなげていって欲しいですね。
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