「狭心症」最新の治療法
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東京都医師会理事で「河北総合病院」理事長補佐、心臓血管外科医の新井悟氏が6月28日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。狭心症とその治療法について語った。
狭心症 ~さらに進むと心筋梗塞に
飯田浩司アナウンサー)今回は狭心症について伺います。まず、狭心症とはどんな病気なのですか?
新井)心臓を取り巻く冠動脈が右と左に計2本あります。心臓の周りを冠のように取り囲んでいて、その血管を通して血液が心臓の筋肉に送られ、心臓が動いています。
飯田)冠動脈を通って心臓の筋肉に血液が送られている。
新井)その血管が動脈硬化を起こし、徐々に狭くなって血液の流れが悪くなると、胸が苦しくなるような症状が出ます。そのような状況を「狭心症」と言います。狭くなったところには、ニキビのようにコレステロールが溜まっているのですが、そこが何かの拍子に崩れて血管が詰まってしまうことがあります。そうすると心筋梗塞の状態になります。
飯田)さらに移行していく。
心筋梗塞になる原因
飯田)心筋梗塞になると、胸の痛みなどの症状が出てくるということですが、原因は何でしょうか?
新井)血中のコレステロールが高い人や、脂質異常症、糖尿病の方なども心筋梗塞になりやすいです。生活習慣病で言うとタバコが関係しますね。
飯田)そのような生活習慣によって進行していくのですか?
新井)徐々に進行していくという状況です。
「薬剤溶出性ステント」を用いた治療
飯田)最新の治療法には、どんなものがあるのですか?
新井)狭くなったところを広げる治療で、血管のなかにカテーテルを入れます。昔は風船だけで膨らませていましたが、それだと再発してしまうのです。
飯田)風船だけで膨らませる方法では。
新井)膨らませたところにステントという小さな管状の金具を入れ、縮まないように押さえてあげるのがステント治療です。
飯田)ステント治療。
新井)それでも血管内の内膜が厚くなり、狭くなってしまうことがあるので、再発防止のために、ステンレスの金網の表面に薬を塗った「薬剤溶出性ステント」が開発されました。
飯田)切って胸を開くのではなく。
新井)手の付け根の血管からカテーテルを心臓のなかまで入れ、血管を内部から広げる治療になります。
「バイパス手術」による治療
飯田)カテーテルを使えない場合もあるのですか?
新井)血管が蛇行していたり、硬い場合などはガイドワイヤーが進まず、カテーテル治療が難しくなります。その場合には、心臓外科の方で手術することになります。
飯田)どのような手術になるのでしょうか?
新井)狭くなった部分より先の部分に、ご自分の体の別のところから血管を取ってきて、飛び越えて血管をつなげる「バイパス手術」を行います。
飯田)かなり時間が掛かるのですか?
新井)1本の血管をつなぐのであれば、2時間弱くらいで終わると思います。さらに何本も増えてくると、その分が加算されていきます。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます