ジャーナリストの須田慎一郎が7月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。共産党・小池書記局長による志位委員長の長期在任に対する批判への反論について解説した。
共産党・小池書記局長が志位委員長の長期在任批判に反論
共産党の小池晃書記局長は7月30日、インターネット番組に出演し、志位和夫委員長の長期在任への批判に対して「長くて何が悪いのか。市民と野党の共闘に志位氏の果たした役割は大きい」と反論した。志位委員長は平成12年に就任し、在任期間は22年を超える。
飯田)このインターネット番組は先日、日本維新の会の馬場さんが「共産党はなくなったらいい政党だ」と発言した番組です。
須田)私も馬場さんはよく存じ上げているのですが、いつも温厚な馬場さんらしからぬ発言だったので、「いいぞいいぞ」と声援を送っていました。志位さんは22年という長期在任ですよね。
党内で分党行為をすれば除名となる共産党 ~委員長選挙は分党行為なのか?
須田)長いから問題なのではなく、どういうプロセスで選ばれているのか、そのプロセスを含め、党内からも批判が出ていた。それに対して除名処分を行うようなところに違和感を持ちますよね。外部からの批判をまったく寄せ付けないという党の体質が問題ではないかと思います。
飯田)党内から出てきた話は、志位さん云々というよりも「1回しっかりと選挙で選んでみたらどうか」など、建設的な意見も出ていた。しかし、「反党行為だ」ということで除名になってしまった経緯がありました。
須田)もともと共産党は分党行為を100%認めていませんから、分党行為をした途端に除名になってしまいます。ただ、「委員長選挙は分党行為なのか?」ということです。外部から見ると、党内の議論を封じ込めることになるのではないかと思いますが。
飯田)そうですよね。
須田)私は小池さんもよく存じ上げていますが、非常に常識的な、教条主義ではない判断をする人です。「苦しい言い訳をしているな」というのが素直な感想ですね。
飯田)苦しい。
選挙に負けたことに関しての検証がされていない ~責任の所在を明らかにして負わせるという組織になっていない
須田)加えて共産党の場合、責任の所在が明確ではないのです。志位氏の在任中に国会議員が大きく減少したことに関して、「それは志位委員長に対する批判ではないのか」、「責任を取るべきではないのか」と指摘された。それに対して、「選挙結果は我々全体の努力不足だ。党首だけの責任にするつもりはまったくない」という言い方をしています。「善戦」などと……。
飯田)善く戦った。
須田)そのような言い方を常にする。負けを認めて「なぜ負けたのか。どこに問題があったのか」という検証が外部に出てこないのです。責任の所在を明確にし、責任を負わせるような組織になっていないことが見えてきてしまう。
野党のなかでどこが若い無党派層の受け皿になるのか ~立憲民主党が特異体質を持つ共産党と手を結ぶことを攻める維新の会
飯田)野党全体を見渡すと、共産党は「支持者の高齢化」が言われたりもします。一方で若い人たちには無党派も相当多い。その受け皿はどこになるのか。今後、もし選挙が近くなれば、それが焦点になりますね。
須田)加えて野党第1党の立憲民主党と、共産党の選挙協力が囁かれています。共産党は、他とは違った体質・性格です。これは共産党という組織形態に根差したものだと思いますが、22年在任や、分党行為を絶対に認めないなど、異質な存在ではないですか。
飯田)共産党が。
須田)そこを際立たせることによって、「立憲民主党はそういう共産党と手を結ぶのだ」と印象付ける。それが日本維新の会の攻めるポイントだと思います。
自民党にとって最も戦いにくい日本維新の会
飯田)馬場さんは番組のなかで野党第1党を獲り、自民党との間で「改革を競うようになればいい」と言っていましたが、そういう狙いですか?
須田)維新がやっていることは、リベラル的な色彩が強いのです。大阪府・大阪市をベースに出てきた政党ですから、弱者に対する目線があり、必ずしも本格的な保守ではない部分もあるわけです。
飯田)本格的な保守ではない部分も。
須田)自らを「改革政党」と規定していますからね。同じ土俵の上に立って政策を競い合うという点では、自民党にとって、いちばん戦いにくい相手ではないでしょうか。もとより自民党から出てきた人たちですし、馬場さんだってもともとは自民党の人間ですから。
本来であれば自民党から出たいのだけれど、2世・3世によって、自民党からは出る場所がない ~そういう候補者が今後は立憲民主党ではなく、日本維新の会を選ぶ可能性が高い
飯田)今後の展開は、全国的に候補をどんどん立てていく形になるのですか?
須田)そこが維新の悩ましいところです。身体検査も甘い状況のなかで、拙速に候補者を選んでしまうと、当選したのはいいけれど、そのあと問題が発覚したというケースがここ最近も散見されます。その辺りはしっかりとした人を選んでくるのだと思います。
飯田)しっかりと身体検査をした上で。
須田)その辺りの見通しはあるのでしょう。いまの自民党は2世・3世、場合によっては4世議員まで出てきている。そんな状況のなかで、「本来は自民党から出たいけれど、出る場所がない」と仕方なく選ばれてきた政党が、野党第1党の旧民主党であり、立憲民主党だったのです。
飯田)本当は自民党から出たいのだけれど。
須田)野党第1党の看板は、そういうところに効果をもたらすのです。本来は自民党で出たかったけれど、出ることができない。でも立憲民主党だと違和感を持つ人が、「日本維新の会でいいのではないか」という選択になっていくのだと思います。
解散は骨太の方針2024が決まる前の「秋の臨時国会で解散」がオーソドックスな考え
飯田)選挙の見通しについて秋と言われていますが、いかがですか?
須田)いよいよ来年度予算から、異次元の少子化対策で3兆5000億円の予算が増えますよね。
飯田)3兆5000億円。
須田)その財源が明らかになっていない。あるいは防衛増税をどうするのかについても、方向性が出てきていません。年末~来年(2024年)の6月にかけて、次年度の予算編成の前哨戦、骨太の方針2024が決まります。
飯田)骨太の方針2024。
須田)その間になると、どうやっても国民負担が増えていくことが明らかになっていきます。そのなかで選挙を行ったら絶対に勝てませんから、それが出てくる前に「秋の臨時国会で解散を打つ」というのが、いちばんオーソドックスな考え方だと思います。
飯田)しかし、最近の世論調査を見ると、支持率があまり上がっていません。
須田)その一方で、野党第1党の支持率も上がっていないのですよ。だからと言って、日本維新の会はまだ自民党に届くような状況ではありません。
飯田)体制が整っていない。
須田)自民党は選ばないかも知れないけれど、野党も選んでくれないとなると、結果的に一緒になってしまうのです。
飯田)なるほど。そこは絶対評価でなく、相対評価ですからね。
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