マイナ保険証の「カードリーダー」はどのくらい普及しているのか?
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東京都医師会理事で「目々澤醫院」院長の目々澤肇氏が8月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。東京における医療DXについて解説した。
オンライン資格確認 ~準備完了が84.6%、運用開始は79.2%
飯田浩司アナウンサー)今回は東京における医療DX(デジタルトランスフォーメーション)について伺います。デジタル技術を活用して業務プロセス、サービス、ビジネスモデルを変えていくDXは、さまざまな業界で進められています。最近よく聞くのはマイナンバーカードをめぐる問題です。
目々澤)マイナンバーカードについては、トラブルが多いことが話題になってしまっていますが、オンライン資格確認によって、国は医療機関にネットワークを引こうとしています。2023年7月9日時点で、これまでに準備完了したのが84.6%、運用開始は79.2%と発表されています。
マイナ保険証のカードリーダーは9割入れられ、85%の医療施設で準備完了 ~ネットワークの第1弾が電子処方箋
飯田)以前は、マイナ保険証を読み取るカードリーダーが「ほとんどの病院で設置されていない」などと言われていましたが、いまは8割くらいになったのですね。
目々澤)9割近く運び込まれています。準備完了が85%近い形です。実際にネットワークを引く際、これから何を載せていくかについて、第1弾が電子処方箋なのです。
レセプトコンピューターや電子カルテをつくるメーカーの人たちが資格確認を動かすことに精一杯で、電子処方箋まで手が回らない
目々澤)電子処方箋を扱うためには、ベンダーと言われるレセコン(レセプトコンピューター)や電子カルテをつくっているメーカーの方々が頑張らなくてはいけない。しかし、その人たちはいま資格確認を動かすので精一杯なのです。
飯田)資格確認を動かすことで。
目々澤)実際にレセコンなどをつくっているところでは、機械的な対応がまだできていません。アプリもできていない。電子カルテはともかく、日本のレセコンにおいて2番目のシェアを持っているのは日本医師会の「ORCA」なのですが、この「ORCA」につながっている電子カルテが20社ほどあるので、そこが軒並み遅れてしまっている状況です。
飯田)レセプトコンピューターとは、どんなものですか?
目々澤)受付で医事会計を行い、患者さんからお金をいただく。レセコンのなかで最終的に処理し、請求書を電子的なものでつくりますが、それをオンライン請求の形で社会保険や国民健康保険の基金などに上げ、我々がお金をいただくという仕組みの元がレセコンです。
電子カルテの整備も必要
飯田)その辺りが動き出すために、まず資格確認の部分が動き出さないことには難しいのでしょうか?
目々澤)そうですね。レセコン自体は電子処方箋に対応してくれるのですが、レセコンだけで対応しても、医者の方でOKボタンを押さなければいけない。押すためのボタンは電子カルテのなかにしかないので、電子カルテも整備しなければいけないのです。
オンライン資格確認のルートができれば薬局側のインフラも少しの改変で構築できる
飯田)すべてがつながってくるのですね。電子処方箋に関しては、受ける薬局側のインフラも必要になってきますが、そちらはいかがでしょうか?
目々澤)これもオンライン資格確認のルートができていれば、ちょっとした改変を処理するコンピューターに入れたらできます。
飯田)オンライン資格確認のルートができていれば。
目々澤)オンライン資格確認のルートで動かすものは、まだその先にもあって、電子カルテで流れている情報を流すのです。そのためには、電子化するものの情報の標準化が必要です。
飯田)情報の標準化が必要。
目々澤)それをいま全世界的に行っているところです。Apple WatchやiPhone、Androidなどに入っている健康情報の規格になっている「HL7 FHIR」に統一してあげれば、スマホまで一気通貫に情報を流すこともできるので、この標準化が進められています。
番組情報
医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます