外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後のウクライナ情勢について解説した。
米ブリンケン国務長官がキーウのマクドナルドを訪問
ウクライナ訪問中のアメリカのブリンケン国務長官は9月6日、首都キーウのマクドナルドの店舗に立ち寄り、ウクライナのクレバ外相と食事を楽しんだ。またブリンケン氏は、攻撃力の高い劣化ウラン弾の供与も初めて盛り込む総額10億ドル(約1400億円)以上の支援策を表明している。
ウクライナ戦争はまだ続く
飯田)ブリンケンさんとクレバさんが、あえてアメリカンフードの象徴とも言えるマクドナルドを訪れました。
宮家)アメリカの閣僚がこういう形でウクライナに行った。ウクライナの国防関係の人は変わりましたが。
飯田)レズニコフ国防大臣が更迭されました。
宮家)しかし、全体の戦局として考えると、この戦争はまだ続きます。ウクライナの反転攻勢なるものは、もともとかなり難しいオペレーションですから、予想通り、時間が掛かっている。
飯田)そうですね。
宮家)いくつかウクライナにとってはよい兆候もありますが、ロシアも北朝鮮から武器・弾薬を買うくらいですから、この戦争はなかなか終わりません。
ウクライナ軍の反攻が進んでいるが、まだまだ時間が掛かる
宮家)そのなかでブリンケンさんがウクライナを訪問し、再び支持を表明するのは大事だと思います。しかし、ウクライナが欲しがっているようなF16などをすぐに供与できるかと言えば……。
飯田)戦闘機ですね。
宮家)急に「はいどうぞ」とはいかないし、訓練もしなければなりません。また、ロシアの出方を見ながら慎重に武器の供与のレベルを考えているアメリカとしては、そう簡単にウクライナが欲しいものを渡すことはできない。徐々にウクライナ軍の反攻は進んでいると思いますが、残念ですけれど、今後もまだまだ時間が掛かっても仕方ないというのが現状だと思います。
どちらも負けられず、停戦協議は動かない
飯田)ロシア側も用意周到に塹壕を掘り、地雷を埋めている。
宮家)最近ウクライナ軍はロシア軍の防衛線の一部を突破したらしいですが、もちろんその後も第二、第三の防衛線があります。第二、第三になるほど若干、弱くなっていくという説もありますが、そうは言ってもロシアを過小評価してはいけないと思います。
飯田)攻める方は、守りの3倍くらいの兵力が必要だと言われますね。
宮家)ウクライナの部隊もそれほど大きいわけではありませんから、実は心配なのですが、とにかく頑張っていただくしかありません。
飯田)宮家さんは常々指摘されていますが、停戦など、いろいろな話も出るけれど、戦争の帰趨は外交ではなく戦場で決まるものだと。
宮家)どちらも「負けられない、まだ勝てると思っている」となると、なかなか停戦協議は動かないと思います。
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