数量政策学者の高橋洋一が9月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。核のごみの最終処分場選定について解説した。
「核のごみ」最終処分場
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選定調査をめぐり、長崎県の対馬市議会は9月12日に定例会本会議を開き、第1段階の「文献調査」受け入れを求める請願を賛成多数で採択した。市議会の決定を受けて比田勝尚喜(ひたかつなおき)市長が受け入れの可否を最終判断する。
飯田)文献調査を受け入れると、まずは交付金が出るということで、地域振興へ期待を寄せる業界団体や経済団体が受け入れを求めていた。一方、漁協や市民団体などは反対を訴えていました。核のごみ・放射性廃棄物に関しては、各自治体が悩みながらいろいろと意思決定しているところですが、対馬は地域的な特質性もありますね。
地層処分は世界的には地下300メートルが常識
高橋)核のごみと言うと、世界的には「地下300メートル」の地層に処分するのが常識ですが、強固な岩盤があることが前提です。北欧だと(岩盤は)20億年近く安定していると言われますが、この辺りの話だと10万年単位で考えなければいけない。日本はどうしたらいいのかという話です。
飯田)10万年単位で。
高橋)海に捨てるわけにもいかないし、ロケットで打ち上げるわけにもいかず、すべて自国処理が原則になってしまうのです。どこに捨てるかと考えると、やはりなるべく辺境の地域になってしまうのかも知れませんね。
フィンランドの核のごみ最終処分場は2025年ごろ稼働 ~まずは文献調査
飯田)フィンランドの最終処分場「オンカロ」は、2025年ごろに稼働する予定です。
高橋)あそこは岩盤が何十億年も動いていないから大丈夫だと言われているけれど、対馬だと何十億年というのは無理でしょうね。でも、10万年であれば大丈夫かなという気がします。
飯田)まずは文献調査を行う。
高橋)調査にもいろいろな段階がありますね。最終的なところでダメだったら、他を探すのでしょうけれど。
調査の結果、「日本国内で捨てられる場所がない」という可能性も
飯田)対馬の場合ですが、一連の補助金として「電源立地地域対策交付金」が支給される。文献調査で最大20億円。これは当然、対馬の町全体にとって大きな額だということはありますよね。
高橋)そうでしょうね。でも、「次に」となった場合、どこまでいけるのか。もしかすると最後には、日本国内で捨てられるところがないという可能性もなくはない。
飯田)調査してみたけれど。
高橋)やはり何万年単位で地殻変動があると難しい。そうすると、「どうしたらいいのか」ということになりますね。
たくさん燃やすと最終的な放射性物質の半減期が変わる ~その研究も進めるべき
高橋)私はもう少し楽観的に考えています。たくさん燃やすと、最終的な放射性物質の半減期が変わるのですよ。
飯田)放射性物質の半減期。
高橋)「あてにならないだろう」と言われるけれど、案外、変わります。半減期が短くなったら、それはそれで違うやり方があるわけです。そういう研究もありますよ。
飯田)いわゆる核燃料サイクルと呼ばれるようなものですか?
高橋)それのもう少し違うものをつくるなど、そういう形にすると半減期が変わるのです。私は技術進歩を信じる方なので、いま言われている10万年単位にこだわる必要もないと思うのですよね。
飯田)そちらの方の研究も進めていく。
高橋)進めなければいけません。いろいろなやり方があると思います。でも、現状の「10万年」で考えなければいけないとなると、大変な気がしますね。
原子力に関する研究には予算を
飯田)一方で現在、「原子力を研究しよう」という研究者の方々がどこまで出るかという問題もあります。予算の話など。
高橋)一般的な原子核物理の話だから、研究者はいると思います。それを応用する話ですし、基礎研究であれば、積極的に進めていいのではないでしょうか。いろいろと燃やして半減期が変わるという研究もあるし、物事の処理の仕方が変わりますからね。私はそういう研究は面白いと思います。
飯田)これだけエネルギーを外に頼っている国なので、原発も含めて対応する。当然ながら、放射性廃棄物についても考える必要があり、研究しなければいけません。
高橋)そうですね。物理としては面白い分野ですよ。私も若いときであれば、研究したくなってしまうくらいです。予算さえあればね。
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