二松学舎大学国際政治経済学部・准教授の合六強が9月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国政府が発表した台湾と福建省の融合発展計画について解説した。
中国が台湾・福建「融合発展」計画を発表
飯田)中国政府が福建省と台湾を融合発展させる計画を発表しました。台湾は来年(2024年)1月に総統選がありますが、そこも睨みながらのアプローチなのでしょうか?
経済的には援助し、一方では台湾周辺で軍事演習を行う ~「アメとムチ」で硬軟織り交ぜて世論に訴えかける
合六)一方で中国は現在、台湾海峡や台湾周辺で空母「山東」を中心とした大規模な軍事演習も行っています。同時並行での「アメとムチ」ですね。硬軟両方を織り交ぜながらプレッシャーを掛け、世論に訴えかけようとしているのだと思います。
飯田)北京中央としては、国民党を何とか支援したいのですか?
合六)そんなところだと思いますが、世論調査を見ている限り、まだ与党候補の方が支持率が高いので、若干の焦りもあるのだと思います。
飯田)焦りもある。
合六)このようなときに経済という手段を使う。あるいは演習のような形で軍事的デモンストレーションを行う。あるいは偽情報など、情報空間での操作によって、世論の心を掴みたいのだと思います。
冷戦時代の西側諸国に対するソ連のやり方と同じ
合六)しかし、これまでもそうでしたが、逆に反発を招く可能性もあります。歴史を遡ってみれば冷戦時代、ソ連は西側諸国に対してミサイルを配備して脅しながら、同時に「我々は平和を希求しているのだ」というようなことを言い、まさにアメとムチを使い分けるような形でアプローチしていた部分がありました。中国もこれまでと同じようなことを繰り返しながら、SNSなどの新しい手段を用いて、台湾に対するアプローチを掛けているのだと思います。
中国の経済力や市場はどの国にとっても魅力的 ~相互依存関係が深まると逆に利用される可能性も出てくる
飯田)冷戦時代は西側の平和運動に対して相当コミットし、資金的な援助をしていたこともあるのですが、中国はどちらかと言うと、経済的な部分を使うことが多いのでしょうか?
合六)いまの中国の経済力は、台湾だけではなく、日本も含めた多くの国にとって魅力的です。
飯田)中国の経済力は。
合六)ヨーロッパも長らく中国の経済力や市場に対して魅力を感じ、対中関係を緊密化させてきたわけです。しかし、中国との経済的関係が緊密になり、相互依存関係が深まるということは、逆に利用される可能性も出てきます。
欧州委員会の委員長が「中国のEVは補助金を付けて不当にヨーロッパ市場で売られているのではないか」と、中国のEVへの補助金の状況を調査すると発表
合六)今回のロシア・ウクライナ戦争でも、エネルギー面でそこが露呈してしまったこともあり、若干、中国に対する警戒感は強まっています。昨日(9月13日)も欧州委員会の委員長が、中国の電気自動車(EV)について演説しています。
飯田)電気自動車について。
合六)補助金が付けられ、「ヨーロッパ市場で不当に売られているのではないか」と訴える声もあり、調査する必要があるということです。
飯田)不当に売られているのではないかと。
合六)これを言ったのはフランスのようです。フランスと言えば、マクロン大統領は中国とかなり親密な関係ではないかと日本でも報じられていますが、やはり経済協力関係を強化するにしても、対等な関係でないと意味がないわけです。
飯田)そうですね。
合六)一方的に中国ばかりが有利な通商関係は、ヨーロッパも受け入れられないので、そこは是々非々で進めるのだと思います。
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