ロシアに対する「塩対応」からも見える「中露関係」の大きな変化

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戦略科学者の中川コージが9月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国とロシアの関係性について解説した。

ロシアに対する「塩対応」からも見える「中露関係」の大きな変化

言葉を交わすロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席(ウズベキスタン・サマルカンド)=2022年9月16日 AFP=時事 写真提供:時事通信

ロシアのウクライナ侵攻以降、変化してきた「中露関係」

飯田)中国とロシアの関係ですが、ロシアのウクライナ侵略に関して、常に報道などでは中国がどこまでコミットするかについて言われています。どうご覧になりますか?

中川)ウクライナ侵攻が始まって以来、最初のフェーズでは中立化戦略として、中国は「ロシア側には立たない」とアピールしていました。

飯田)そうですね。

中川)しかし、国際社会としてはそれを受け入れられないので、「中露連携」という言葉を使いましたが、両方がプロパガンダ戦を行ったわけです。中国側は「中立だ」と言い、外からは「いや、連携しているだろう」と言われていた。

飯田)お互いに。

中川)ただ、2国間をもう少し客観的に見ると、思ったよりもロシア側も中国側も寄っていません。武器の供与も公然と行うわけではなく、「裏からやる」という形です。

飯田)見えない形で。

中川)「公然と支援しない」ということは、ロシア側からすれば「もう少しやってくれ」と思うでしょうし、中国側からすれば「そんなこと、できるわけがないだろう」という話なわけです。

ロシアに「塩対応」する中国 ~「中国・中央アジアサミット」によってロシアの庭に手を入れ、ロシアの外交力の低下を宣言

中川)そういった意味では、プーチンさんに対して「塩対応をしている」というところは大前提にあるのです。

飯田)ロシアに対して。

中川)なおかつ、ロシアの外交力が減ったため、より一層塩対応になっている。日本でG7広島サミットを開催した際、中国が「中国・中央アジアサミット」を仕掛けたように、ロシアの庭に手を突っ込んで、あからさまに「ロシアの外交力の低下」を宣言しているわけです。その辺りを見ると、「ロシアと中国の関係が変わってきたな」と思います。

飯田)がっちり組んでいるイメージもあるけれど、むしろ他人の庭に手を突っ込むくらいのことを平気でするのですね。

中川)相当にロシアの外交力、また中国に対する交渉力が弱まっているところはあると思います。

中央アジア、中東、アフリカなど、ロシアの影響力があった地域に手を突っ込む中国

飯田)中国は中東に関しても、イランとサウジの仲介を行いましたが、あの地域も、もともとロシアのプレゼンスがあったところに手を突っ込んでいるのですか?

中川)そうですね。中央アジア、中東、アフリカなどでもロシアの影響力が多少あったところが減っているので、より一層中国が元気になっているのです。

BRICSでの影響力が強い中国・インド

中川)先日、BRICSの首脳会談が南アフリカで開催され、新しく6ヵ国が入りました。構成国であるエジプトやサウジ、イラン、アルゼンチンなどを見ていると、それぞれ主に息が掛かっているのは中国で、続いて息が掛かっているのはインドというような形です。BRICSは「どの6ヵ国を入れるか」というような内部資料については非公開なのです。

飯田)会議の内容など。

中川)20ヵ国くらいの申請があったと言われていますが、新加盟する6ヵ国がどういう影響力で決まっているかと言うと、中国・インドの影響です。そういう意味でも、ブラジルやロシア、南アも含めて、相対的にBRICSでの影響力は中国・インドに比べれば弱かったのでしょう。

飯田)ブラジルやロシアの影響力は。

中川)BRICSではガチンコの交渉をやっていると思うので、力関係が見えやすいのです。公開情報分析からすると、BRICSでの中印の影響力の強さが見えた一例だと思います。

インドからすると、中国は政治的レベルでも、大衆レベルでも上から下まで含めて牽制している仲

飯田)グローバルサウスをどちらが味方につけるかで、中印のせめぎ合いがあると言われていますが、そこはまだ中国が強いですか?

中川)ロシアファクターはBRICSのなかでは落ちていくと思います。BRICSにおける5ヵ国のなかでは、外交的にはロシアよりもインドの方が影響力が強いのです。私も先日、1週間ほどインドへ行きましたが、G20前後で、インドの中国に対する反応が面白かったのです。

飯田)中国に対する反応が。

中川)テレビを観ていると、外交に関しても話題にするお茶の間の番組がありますよね。

飯田)ワイドショー的な番組ですね。

中川)以前、中国共産党大会で胡錦濤さんが強制退場させられるシーンがありました。それをプロ野球の「珍プレー好プレー」のように、『マンボNo.5』がバックで流れているような感じで、胡錦濤さんが早送りで「行ったり来たり」しているのですよ。「中国はこんな感じ!」というような画像が流れていて、反中感情が大衆レベルでも面白おかしく伝わっているのです。

飯田)ネタとして使われている。

中川)インドからすると中国は、政治的レベルでも大衆レベルでも、上から下まで含めて牽制している仲だということです。

飯田)なるほど。

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