国連総会で岸田総理は中国に対して「正しいメッセージ」を送るべき
公開: 更新:
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が9月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理の国連総会への出席について解説した。
岸田総理が訪米、国連総会で演説
飯田)岸田総理は9月19日~21日、国連総会への出席のために訪米し、一般討論演説に臨みます。日本として、あるいはG7議長国として、「どんなメッセージを出していくのか」も大事ですか?
宮家)日本としては、中国を念頭に置かざるを得ないので、中国に対して正しいメッセージを送らなければいけません。どんなメッセージかと言えば、「国際法を踏み躙り、武力行為で現状を変更することは、台湾を含めてダメだ。どうせ失敗するのだからやめておきなさい」ということです。
誤算を招かない、「最低限の対話のチャンネル」が必要なアメリカ ~国防相が行方不明で軍事について一切拒否する中国
飯田)アメリカからは最近、いろいろな閣僚の人たちが中国へ行っていますよね?
宮家)行っていますが、成果は出ていません。もちろん閣僚同士の話し合いは大事ですが、アメリカが本当にやりたいことは軍についてです。
飯田)軍。
宮家)人民解放軍の上の人たちと、本音では話せないかも知れませんが、少なくとも信頼醸成ができ、誤算を招かないような最低限の対話のチャンネルが米中間には必要です。ところがいま中国側は、少なくとも軍事については一切拒否しています。それどころか、国防相がいないのですから。
飯田)8月末ごろから約3週間に渡り、李尚福氏が消息不明のままですね。
宮家)おそらくパージされたのだと思いますが、そのような状況なので、とても話し合いができない。中国側としては下っ端と話しても仕方ないので、習近平さんがバイデンさんと直接話し、「すべてトップダウンで決める」ということだと思います。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と中国の王毅共産党政治局員兼外相がマルタで会談
宮家)何かが中国国内で起きていることは間違いありません。マルタではサリバンさんと王毅さんが会いました。「王毅さんは、ご苦労様、まだやっているのか?」という感じですが。
飯田)政治局員まで上がったけれど、再び外交部長に就任した。
宮家)政治局員は25人しかいないので、とても偉いのですよ。
飯田)あの中国で25人しかいないわけですからね。
宮家)それがまた外相兼任に引き摺り下ろされてしまい、出て来ざるを得ないような状況になっているのです。
飯田)外相が行方を眩ませてしまったから、王毅さんが再任となりました。
マルタで会談するということは関係がよくない証拠
宮家)もう1つは、「なぜマルタなのか?」ということです。通常なら北京かワシントンに行けばいいのですが、お互いに嫌っているので、やはり中間地域でなければダメだということになる。しかし、中間点と言ってもハワイや日本、韓国はダメですし、フィリピンも最近は違う。
飯田)政権が変わってからは。
宮家)そのような経緯があってマルタになったのだと思いますが、これは関係があまり上手くいっていない証拠です。相互に直接訪問できないわけですから。
中国との会談は長くなる
宮家)中国と話すと、いい意味でも悪い意味でも話が長いのです。中国にも世界戦略があるので、話すことはたくさんあります。アメリカも話したいことはたくさんある。しかし、中国が話し始めると長いのです。平気で5時間~6時間ほど掛かります。
飯田)そんなに掛かるのですね。
宮家)体力が必要です。王毅さんも大変だと思います。
飯田)5時間ずっと向こうが話すのですか?
宮家)もちろんお互いに喋るのですが、基本的には中国が3つ喋ったら、アメリカが1つ喋るような状態だと思います。それに通訳が入るので、すぐに5時間~6時間ほど経ってしまうのです。
飯田)バイデン政権が発足した当初、まさにサリバンさんとブリンケンさん、王毅さんはアラスカで大激論しました。
宮家)あの内容がまた公になってしまったのですよね。
飯田)しかもカメラがいるところで。中国と会議を行うときは、あのような雰囲気になるのですか?
宮家)最近はそうですが、それでも本音で話せるところが5時間のなかに少しだけあるはずです。果たして今回、それができるのかどうかが大事だと思います。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。