胃がんにならないためにも「ピロリ菌」の除菌を

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東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が9月19日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。ピロリ菌と胃がんについて解説した。

胃がんにならないためにも「ピロリ菌」の除菌を

※画像はイメージです

なぜ「ピロリ菌」と言うのか?

飯田浩司アナウンサー)ピロリ菌について伺いますが、どのような菌なのでしょうか?

鳥居)正式名は「ヘリコバクター・ピロリ」という名前です。「ヘリコ」は螺旋、旋回という意味です。よくヘリコプター・ピロリと間違えられるのですが、まさにヘリコプターのヘリコを意味します。「バクター」は細菌を意味しています。胃の出口を「ピロリス」と言うのですが、その部分にいたので「ヘリコバクター・ピロリ」という名前が付きました。

オーストラリアのウォーレン氏とマーシャル氏によって発見された「ピロリ菌」

飯田)どのように発見されたのですか?

鳥居)もともと胃には菌がいないと思われていました。我々も学生のころから、「胃には強力な塩酸があるから菌はいない」と教わっていたのです。

飯田)かつては。

鳥居)しかし、オーストラリアの病理専門のウォーレン先生と内科研修医のマーシャル先生によって、1979年に100人くらいの胃炎、あるいは胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんからその菌が見つかりました。また、培養できることも発見したのです。

飯田)菌を発見した。

鳥居)特に興味深いのは、マーシャル先生は自分でその菌を飲み、実際に病気が起きることと、そこから菌が培養できることを証明したのです。

飯田)飲んだのですか?

鳥居)それまで胃潰瘍、十二指腸潰瘍などはストレスや生活習慣が原因と言われていましたが、これによってピロリ菌が悪さをしていることがわかりました。その功績で、2005年に2人はノーベル賞を受賞しました。体を張っての研究だったと思います。

75歳以上では80%~90%、20代では10%~20%の割合でピロリ菌に感染 ~感染経路は井戸水と口移し

新行市佳アナウンサー)日本国内で感染している人はどれくらいいるのですか?

鳥居)お年寄りだと80%~90%くらいです。特に75歳以上、戦前生まれの方だとそのくらいになります。いまの子どもにはそれほどいなくて、20代では10%~20%と、非常に少なくなっています。

飯田)年齢差の原因、また感染経路はどんなものですか?

鳥居)日本では3500万人くらいが感染していると言われており、感染経路はいろいろと研究されています。ほとんどが幼少期の感染で、井戸水によって感染するとされています。もう1つは、親御さんや祖父母の方々などからの口移しでうつっていると言われています。

飯田)井戸水と口移しで。

鳥居)いまは下水道が完備されているので、井戸水からの感染はほとんどありません。また、虫歯菌の問題などもあり、口移しで食べ物を与えなくなっているため、感染者数は激減しています。

胃がんにならないためにも「ピロリ菌」の除菌を

新行市佳アナウンサー、鳥居明氏、飯田浩司アナウンサー

感染すると胃炎や胃潰瘍に ~除菌すれば嘘のようにスッキリする

飯田)感染すると、どのような症状になるのですか?

鳥居)感染してもまったく症状のない方と、胃炎や胃潰瘍になる方がいます。胃炎になれば当然、腹痛が起こります。また、軽い症状でも、もたれ感や食欲がなくなることがあります。除菌すると嘘のようにスッキリし、「カレーライスを食べてももたれなくなった」と話す患者さんもいらっしゃいます。

胃潰瘍から胃がんになる場合も

飯田)引き起こす病気としては胃潰瘍などになるのですか?

鳥居)まずは「萎縮性胃炎」という胃炎を起こします。さらに胃潰瘍、十二指腸潰瘍になり、萎縮性胃炎から胃がんになる場合もあります。

飯田)胃がんに。

鳥居)あとは「悪性リンパ腫」という病気を引き起こすとも言われていますが、いまでは除菌すると腫瘍性の病気がなくなることもわかっています。

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