岸田総理、10月末までに経済対策を提出して「11月解散」か

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経済アナリストのジョセフ・クラフトが9月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理が表明した経済対策の5本柱について解説した。

岸田総理、10月末までに経済対策を提出して「11月解散」か

2023年9月20日、内外記者会見~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202309/20usa.html)

岸田総理大臣が経済対策の5本柱を発表

岸田総理大臣は9月25日、物価高などに対応する経済対策の策定に向けて、5つの柱を表明した。(1)物価高から国民生活を守る、(2)持続的賃上げ・所得向上と地方の成長、(3)国内投資の促進、(4)人口減少を乗り越える社会変革の起動と推進、(5)国土強靭化、防災・減災など国民の安心・安全の確保の5つ。

評価できる「年収の壁」への対策

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岸田総理)今回の経済対策については、2つ大きな目的があります。第1に、物価高に苦しむ国民に対し、成長の成果を適切に還元する。第2に日本経済が、長年続いていた「コストカット型」の経済から30年ぶりに歴史的転換を着実に図れるよう、強力に、政策的にあと押ししていくということです。

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飯田)表明に先立ち、自公両党の政調会長と官邸で会談を行い、経済対策を検討するよう要請したということです。5つの柱が出てきましたが、いかがですか?

クラフト)すぐに影響が考えられるのが、1つ目の「物価高から国民生活を守る」と、2つ目にある「賃上げ・所得向上」で、この2つが重要だと思います。賃上げ・所得向上に関しては一応、2025年までなのですが、年収の壁にある程度の政策を打ったことは評価できるのではないでしょうか。

日銀と政府の役割分担 ~日銀には緩和政策を維持して景気の下支えをしてもらい、政府が補助金という形で短期的にコストを抑えて対応

クラフト)日銀が金融政策で「物価対策を行っていない」という批判がありますが、日銀と政府には役割分担があるのです。政府は当然、物価高への対応をしたい一方で、経済を下支えしていきたい。したがって日銀には、ある程度の緩和政策を維持して景気の下支えをしてもらう。

飯田)日銀の役割分担として。

クラフト)逆にインフレ対策は金融で行うのではなく、政府が補助金という形で短期的にコストを抑えて対応していく。この二段構えで対応していることを認識した方がいいと思います。

ガソリン補助金や電気・ガスの負担軽減 ~12月以降は補正予算で行い、生活面での対応をする

飯田)ガソリン補助金や電気・ガスの負担軽減策は、一応延ばしはしましたが、12月までで終わってしまいますからね。

クラフト)おそらく、もう一度予算を立てて、2024年3月まで延ばすと思います。12月までは繰り越して使っていない資金でいける。

飯田)やりくりでいけると。

クラフト)その後は補正予算で3月まで対応する。ただ、どこかで終えないといけませんので、一応の暫定措置です。経済対策というよりは、社会保障の面が強い部分です。とにかく生活面での苦難を和らげていく。

10月末までに経済対策を提出し、11月冒頭に解散か ~投開票は11月26日か12月3日の可能性も

クラフト)もう1つ、経済対策で注目されるのは解散の時期です。

飯田)解散の時期。

クラフト)総理は、内閣改造のときの会見で解散について問われ、「経済対策を最優先にして、政局の日程について考えたい」と答えていました。つまり経済対策を提出し、そのあとに解散するかどうかを考えるということです。

飯田)経済対策を提出してから。

クラフト)政府は10月末までの経済対策提出を狙っていますので、10月末までに提出し、11月冒頭に解散するのではないでしょうか。行うかどうかはわかりませんが、総理の発言から、1つの選択肢としてあるのではないかと思います。

飯田)次の国会がいつから始まるのかという話ですが、いま言われているのは10月半ば過ぎ、召集は20日くらいになるのではないかと言われています。一連の演説だけをこなして、予算案も閣議決定までいってから解散するのでしょうか?

クラフト)一応発表して、そのあと解散になるでしょう。そうすると、投開票は11月26日、ないしは12月3日辺りではないかと思います。解散を決めた場合ですが。

いまなら大勝ちはしないかも知れないが、大負けもない自民党

飯田)そこで本当に解散を打てるかどうか。支持率の話になってきますね。

クラフト)自民党は茂木幹事長のもとで、各選挙区の世論調査をしているのだと思います。これから支持がどのくらいあるのかという分析に入るのではないでしょうか。また、官邸が注視しているのは総理の支持率だけではなく、野党の支持率です。野党の支持率は6月から伸び悩んでおり、低下しています。

飯田)野党の支持率が。

クラフト)現状で言うと、大勝ちはしないかも知れないけれど、大負けもしない。自民党の世論調査を精査して「やるかやらないか」に入っていくと思いますが、タイミングとしては、経済対策の提出が重要になると思います。

飯田)それに先立って内閣改造も行ったわけですよね。人事に対しては「さほどのサプライズもなかった」と言われていますが、その辺りはどうご覧になりますか?

クラフト)別に内閣支持率を上げるための組閣ではなく、むしろ、より政策を打ちやすい人事、また来年(2024年)の総裁選を見据えた派閥の取りまとめが目的だったと思います。それほど支持率が上がらなくとも、官邸は焦っていないような気がします。

飯田)狙いはそこではない。

クラフト)野党が弱い限り、総理の支持率が低迷しても選挙ではそれなりに戦えると見込んでいますので、その辺りも含め、この1ヵ月が勝負ではないでしょうか。

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