なぜ日本は「胃がん大国」と言われたのか
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東京都医師会理事で「鳥居内科クリニック」院長の鳥居明氏が9月22日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。日本が「胃がん大国」と言われた理由について語った。
日本が「胃がん大国」と言われた2つの理由
飯田浩司アナウンサー)「日本は胃がん大国だった」などという言われ方もしますが、なぜでしょうか?
鳥居)胃がんは「国民病」とも言われていました。ドラマ『白い巨塔』などでも、胃がんが取り上げられていたわけです。いまはそれ以外の病気が多くなってきていますが、国民病と言われていたのは井戸水の問題や、口移しの問題などからピロリ菌の感染率が高かったからです。
飯田)ピロリ菌の感染率が高い。
鳥居)もう1つ、日本の場合は海産物をよく食べますよね。昔は冷蔵庫などが発達していなかったので、塩分をたくさん使っていたのです。塩気が多いと胃粘膜の粘液が剝げ落ちてしまうため、発がん物質がより粘膜と接しやすくなります。その2つが大きい原因ではないかと言われています。
すべての人のピロリ菌を除去すれば胃がんが絶滅する可能性も
飯田)胃がん対策としてピロリ菌を除去することは、必須と言ってもいいくらいですか?
鳥居)ピロリ菌を全部検査して、萎縮性胃炎ができる前に除菌療法を行えば、もしかすると胃がんが根絶できるかも知れません。信州では中学生など、若いうちにピロリ菌がいるか調べて、除菌療法を行う試みもされています。まだ研究段階ですが、将来的にはそうなるかも知れません。
生活習慣と体質が影響する
飯田)我々の対策としては、検診が大事ですか?
鳥居)まずは検診です。あとはピロリ菌のチェックをすることですね。塩分の多いものが好きな方は特におすすめします。
飯田)ピロリ菌のチェック。
鳥居)家族歴にもよく注意していただきたいです。お父さんやお爺さんが胃がんだった方は、必ず検診を受けてください。遺伝ではないのですが、体質を引き継ぐことはあります。海外では「Twins Study」という双子の研究があり、1人の方が(病気に)なると、(もう片方も)なりやすいという研究結果も出ています。
飯田)遺伝はなくても、生活習慣や体質の影響は大きいのですね。
鳥居)体質プラス、そのあとの生活習慣ということが言えると思います。
検診で「要精密検査」となったら必ず内視鏡検査を受ける
新行市佳アナウンサー)最後に、鳥居先生からリスナーへ向けてメッセージをお願いします。
鳥居)特に50歳を過ぎた方には検診を受けていただきたいです。いまは対策型検診だと、胃がん検診は2年に1回になっていますが、ピロリ菌を除菌したあとも1年に1回は検診していただきたいですね。
飯田)1年に1回。
鳥居)コロナの影響で検診を受ける方が少なくなっています。また、「要精密検査」となっても「少し様子を見ていいのではないか」と思う方が多いのですが、その間にも胃がんが進んでしまいます。検診をきちんと受けることと、「要精密検査」になったら、必ず内視鏡検査を受けてください。
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飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます