少子高齢化により、「国民皆保険」が危機的状況に

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が9月25日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。日本の国民皆保険について解説した。

少子高齢化により、「国民皆保険」が危機的状況に

※画像はイメージです

1961年、日本の国民皆保険が実現

飯田浩司アナウンサー)医療の根幹の部分、国民皆保険の仕組みについて伺います。日本の国民皆保険制度はいつからあるのでしょうか?

尾﨑)保険を使った組合があり、「全額を負担しなくてもいい」というような制度は以前からありましたが、当時は働いている方の一部という感じでした。

飯田)働いている方の一部。

尾﨑)それが1961年に国民すべて、つまり働いている人は被用者保険として、いわゆる社会保険に入る。そして自営業や働いていない方々は国民健康保険に入るようになり、原則すべての日本人が保険に入れるような仕組みをつくったのです。

飯田)1961年は昭和36年ですね。

1961年からは原則、すべての人が保険に入ることに ~初診料や再診料などの料金体系も決まる

飯田)それまでは勤め人として働いている方には保険がありましたが、自営業の方など、こぼれ落ちる方も多くいたのですか?

尾﨑)国民の3分の1くらい、当時の数で3000万人くらいの人は保険がなく、診療所でも、いまのように診察料金がきちんと決まっていたわけではありませんでした。

飯田)払い方が柔軟で、「あとでお金ができたときでいいよ」などと、先生が決めていた部分があったのですね。

尾﨑)しかし1961年からは原則、すべての日本人は保険に入ることになったのです。そこから初診料や再診料など、いろいろ公的な保険点数が決まり、いまでは日本どこでも同じような料金体系に決まっています。通常は3割負担です。

少子高齢化により、「国民皆保険」が危機的状況に

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

世界に冠たる日本の皆保険制度 ~少子高齢化によって今後は存続の危機も

新行市佳アナウンサー)国民皆保険には、どんな特徴があるのでしょうか?

尾﨑)いまは、生まれてくる方は当たり前のように家に保険証があって、それを持っていけば、基本的にはどの医療機関でも診察を受けることができます。負担額も決まっていて、その額を払えばいい。

飯田)通常は3割を負担する。

尾﨑)国民全体に対し、きちんとした制度を持っている国は実は少ない。欧米の先進国であるドイツ・フランス・イギリス、北欧などはある程度きちんとやっています。ただ、アメリカにも保険はあるのですが、すべて民間保険です。保険に入れない人は4500万人ぐらいいます。アメリカでは、初診料が3万円ぐらいですね。

飯田)高いですね。

尾﨑)日本の場合は点数が決まっているので、2880円です。日本では入院料も、1日入院すると平均で3万円ぐらいですが、アメリカのニューヨークでは1日30万円くらい掛かります。

飯田)約10倍の開きがあるのですね。

尾﨑)日本の医療について、政治家の方も「世界に冠たる皆保険制度」などと言いますし、確かに優れた制度です。ただ少子高齢化で、いままで保険を支えてきた人たちが減っています。「どうすれば、いまのいい制度を維持できるのか」が現在、大変問題になってきているのです。

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