ロシアの撤退が先か、ウクライナの反攻が先か、各国の「支援ストップ」が先か

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ジャーナリストの須田慎一郎が10月2日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。今後のウクライナ情勢について解説した。

ロシアの撤退が先か、ウクライナの反攻が先か、各国の「支援ストップ」が先か

ロシアのプーチン大統領(ロシア・ノブゴロド)=2022年9月21日 AFP=時事 写真提供:時事通信

ウクライナ4州に対するロシアの一方的な併合宣言から1年

ロシアのプーチン大統領は9月30日、ウクライナ東部・南部計4州の併合を一方的に宣言してから1年となるのに合わせ、併合を改めて正当化するビデオメッセージを発表した。プーチン政権は選挙だとする活動を強行するなど、占領地域での支配の既成事実化をさらに進めようとしている。

新行)2022年9月にロシアはウクライナ東部ドネツク州とルハンスク州、南部ザポリージャ州とヘルソン州の4州で住民投票だとする活動を強行し、2022年9月30日、一方的に併合を宣言しました。あれから1年が経ち、ウクライナは反転攻勢を強めています。

須田)そもそもロシア軍によるウクライナ侵攻のきっかけは、ウクライナの東部2州(親ロシア派地域)が一方的に独立を宣言したことです。これは国際的にも認められていない独立ですが、そこから人命の危機に瀕しているというロシアに対し、支援要請が入って侵攻が始まりました。

新行)東部2州の独立宣言から。

須田)独立が国際的に認められていないなか、要請に基づいて侵攻するというのは、入り口の時点で国際法違反であり、占領することも違反です。なおかつそこを併合したり、住民投票を行ったとしても、国際法上は何の意味もない手続きでしかありません。

新行)国際法上は。

須田)いくらプーチン大統領が既成事実を積み上げていったとしても、入り口の時点で国際法的には無効ですので、選挙を行ったとしてもほとんど意味のないことです。

ロシアの防衛費、2024年に約1.7倍の増額 ~GDPの6%に相当する財源をどこから捻出するのか

新行)ロシアに関しては、さまざまなニュースが入っています。2024年には国防費を約1.7倍に増額する見込みだそうです。また、プーチン大統領は2023年秋に最大13万人を徴兵する法令に署名したと発表しています。

須田)国内総生産(GDP)の6%に相当する防衛予算です。国家財政上の大きな負担になり、さらには財政破綻の可能性も出てきます。財源をどこから捻出するのか。あるいは徴兵令に署名したことで、国内世論の反発も出てくるのではないでしょうか。

2024年から完全に戦時体制に移行するロシア ~困窮に耐えられるか

須田)ただ、それが表面化しないようコントロールしてくるとは思います。ロシア経済は国家財政主導の経済です。ロシア産の天然資源を国が税収として吸い上げ、それを配分していく構造です。それが破綻すると、国民に対して分配できなくなってしまいます。

新行)破綻すると。

須田)それに加えて最大13万人を徴兵するということですから、2024年から完全に戦時体制に移行するのでしょう。困窮・窮乏に耐えられるかどうかという問題にもなりかねないと思います。

ロシアが撤収するのが先か、ウクライナの反転攻勢が先か、さらには、各国の支援ストップが出るのが先なのか

須田)ロシアとしても、どこかのタイミングで停戦を探り出すのではないでしょうか。もちろん、ウクライナ側も東部の奪還は難しい状況があるので、いまはどちらかと言うとクリミア奪還に軍事資源をシフトさせています。その辺りが1つの落としどころになる可能性もあります。

新行)長期化してくると、「ウクライナをどのように各国が支えていくのか」という問題もあると思います。関連して入ってきたニュースが、スロバキアの総選挙です。スロバキアの総選挙は9月30日に投開票され、親ロシア派のフィツォ元首相が率いる左派政党「スメル」(道標)が、約23%の投票率で第1党になりました。スメルは国民が物価上昇に苦しむなか、ウクライナへの支援停止や、対ロシア制裁の見直しを訴えて支持を伸ばしたということです。

須田)しかし、果たしてそれができるのか。国連の制裁決議違反にもなりかねない行動なので、国民の要求はそうなのかも知れませんが、国として動けるかと言うと、また別の問題があると思います。

新行)国連の制裁決議違反になりかねない。

須田)物価高騰、特にエネルギー価格の高騰を中心とした物価高騰において、私たち日本もそうですが、ヨーロッパ諸国はロシアに対する依存度が高かっただけに、国民の不満も相当高まってきています。これがいわゆる「支援疲れ」にもつながっていくのです。

新行)ウクライナに対する。

須田)ロシアが一定程度のところで撤収するのが先なのか、あるいはウクライナの反転攻勢が先なのか、さらには各国の支援ストップが出るのが先なのか……。いろいろ時間的な制約が、これからずっと掛かってくるのだと思います。

新行)長期化するにつれて、というところですよね。

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