神戸学院大経済学教授でウクライナ研究会会長の岡部芳彦氏が10月3日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。「ウクライナ最高会議名誉章」の授与式に出席するため、9月にウクライナを訪問した際の情報を披露し、「現地で政界関係者から話を聞くと、『マリウポリを攻略するよりも、クリミア半島を奪還するほうが簡単なのではないか』と話す人が多かった」と明かした。

昨年10月のロシア軍による空襲で崩壊した後もそのままになっている建物。空襲では死傷者が出、周囲の建物の窓ガラスも軒並み割れたという=2023年09月09日午前、キーウ市内 写真提供:産経新聞社
辛坊)この戦争の着地点は、どのあたりだと考えたらよいのでしょうか。
岡部)現時点では見えません。現地で政界関係者から話を聞くと、「マリウポリを攻略するよりも、クリミア半島を奪還するほうが簡単なのではないか」という声が多かったからです。すごく驚きました。
辛坊)しかし、クリミア半島にはロシアの黒海艦隊の司令部が置かれています。また、旧ロシア帝国がオスマントルコからクリミア半島を奪ったという古くからの歴史を振り返っても、ロシアがクリミア半島を奪還され状態で停戦に応じるとは思えません。逆に言うと、ウクライナがクリミア半島を取り戻した段階で、最終的にロシアの顔を立てる形で取引材料にするという見方もあるのでしょうか。
岡部)そこまでは考えていないと思いますね。今は、取り戻せる場所を取り戻そうとしていているのだと感じます。(取引材料にするといった)戦略は持ち合わせていないのではないでしょうか。