17兆円台の経済対策 微修正していくしか方法はない

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月2日の臨時閣議で決定した総合経済対策について解説した。

2023年11月2日、冒頭に発言する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202311/02kaiken.html)

2023年11月2日、冒頭に発言する岸田総理~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202311/02kaiken.html)

政府が17兆円台の経済対策を閣議決定

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岸田総理)今回のチャンスを逃せば、デフレ脱却が難しくなります。確実に可処分所得を伸ばし、消費拡大につなげ、好循環を実現する。

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政府は11月2日の臨時閣議で、減税や低所得世帯への給付などを盛り込んだ総合経済対策を決定した。経済対策の規模は17兆円台前半を見込んでいる。

飯田)17兆円のなかには、2024年に行う減税も入っているということです。

宮家)首相のおっしゃる通りで、経済的にデフレの時代からこれからの物価高、そして新しい時代に入っていくのは間違いありません。世界が変わっていかざるを得ないのですから、そのときに何かやらなければいけない。しかし、経済において「これさえやれば上手くいく」というような政策に変えることは、私の感覚では「できるはずがない」と思います。30年間の失われた時代があって、「デフレにどう対応するのか」と、日銀でも異次元の金融緩和を10年以上行ってきましたよね。

飯田)そうですね。

宮家)それを急に変えるのは難しいので、微修正しなければいけません。日銀も少しずつ変えているように見えます。「このくらいしかできないのか」と言われても、「では他に何をやるのだ?」ということです。革命のようなことをやれば、逆に経済が傷つきますので、微修正していかざるを得ない部分があると思います。いろいろな議論がありますが、経済政策と政局が混ざった形で報じられているので、「総理はかわいそうだな」と思うときがあります。

微修正で少しずつ対策を行っていくしか方法はない

飯田)「解散はいつだ、そのためにこの経済対策もあるのだ」というような。

宮家)人口が増えなくなり、成長率が下がってデフレになり、我々の経済を何とかしなければいけないなかで、日本経済はよくここまできたと思います。これからまた物価は間違いなく上がります。中東で(イスラエル・パレスチナ情勢が)暴発でもすれば、原油価格は上がるはずなので、いままでとは違う形のドラスティックな改革が本当は必要だと思います。しかし、それを急激に行えば、みんな体が壊れてしまう。徐々に投薬するなり、手術するなり、少しずつ進めなければいけないのです。

飯田)体力を見ながら。

宮家)患者さんが倒れてしまったら意味がありません。そのように私は思うのですが、いかがでしょうか?

持続的に物事を動かすには、これまでのものを総点検しなければいけない

飯田)今回、2024年度の減税も込みで17兆円です。それを除いても13兆円前後と、かなり大きな額ですよね。

宮家)大きいです。ある程度の効果は期待できると思うのですが、その割には、みんな評価は厳しいですよね。

飯田)総理も最近は、昔のデフレ、コストカット時代から転換するのだと言っています。

宮家)これで一息つくとは思いますが、減税にしても何にしても、それほど簡単に恒久化はできません。持続的に物事を動かすには、いままでのものを総点検する必要があると思います。もう「やってしまった感」があるかも知れませんが、まだまだ実はメスが入っていないところがたくさんあるはずです。そこにメスを入れられるかどうかには関心があります。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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