地方こそ「ライドシェア」を望んでいる 3拠点生活する佐々木俊尚がその必要性について言及

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ジャーナリストの佐々木俊尚が11月15日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。小泉進次郎氏ら超党派で開かれた「ライドシェア」勉強会の準備会合について解説した。

地方こそ「ライドシェア」を望んでいる 3拠点生活する佐々木俊尚がその必要性について言及

※画像はイメージです

「ライドシェア」超党派で勉強会、小泉進次郎氏ら11月22日に初会合

一般ドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」をめぐり、自民党の小泉元環境大臣らが11月14日に超党派勉強会の準備会合を開き、2023年内にも導入に向けた方策を取りまとめることを確認した。本格的な初会合を22日に開き、首長にヒアリングを行った上で、臨時国会会期末の12月13日までに会合を2~3回重ね、論点整理を実施する。

飯田)超党派で開催され、自民、公明、立民、維新、国民民主の議員が参加しました。

佐々木)既に政府の規制改革推進会議も、新法を制定して解禁すべきだと提言しています。「来年(2024年)には国会提出できるのではないか」というスピード感です。

飯田)岸田総理の所信表明演説でも、ライドシェア解禁について言及がありました。

佐々木)推進している菅前首相と河野太郎さんはかなり強力なタッグなので、現実味は相当あると思います。東京都心や大阪の中心部に住んでいる人にとって、ライドシェアの必要性はあまり実感がないかも知れません。しかし、私は福井と長野で生活していますが……。

飯田)東京も含めて3拠点生活をされています。

運転代行2時間待ちの青森 ~地方こそライドシェアを望んでいる

佐々木)地方にはタクシーが少ないのです。全然いない。私は福井の敦賀近くに住んでいるのですが、運転代行、もしくはタクシーのお世話になります。そもそもタクシーがおらず、運転代行を頼んでも1時間待ちが普通です。飲み屋さんに行って9時ぐらいに「帰るか」と代行を頼んでも、「なかなか来ないですよ」と言われてしまう。1時間くらい待っていると酔いも醒めてしまいます。10月に青森県青森市へ講演に行った際、地元の商工会の人と「運転代行はどうですか?」という話をしたら、「この辺りでは2時間待ちですよ」と言っていました。

飯田)飲み始めとともに電話しておかないといけませんね。

佐々木)だから地方の飲み屋街では、運転代行やタクシーを含め、みんなライドシェアを待ち望んでいます。

地方では副業としてやってもらえることが大きいライドシェア

飯田)タクシー業界団体などは「二種免許の取得をもう少し楽にして、人が入りやすくしたらどうか」と提案していますが、地方では難しいのでしょうか?

佐々木)仮に条件を緩和しても、地方では給料が安いので入ってこないのです。ライドシェアは、専業のタクシー運転手さんではなく、「副業として従事してもらえる」ことが大きいのです。例えば農業などの一次産業に従事する人が、農閑期の仕事にできたり、あるいは1日のうち暇な時間にライドシェアを行う。漁師さんであれば朝方に仕事があって、夕方ぐらいには暇になる場合、そういう方にやってもらうとか。また、最近は農業をしようと地方に移住する若者も増えているので、収入源の1つとして選んでもらう。

飯田)副業として。

佐々木)ライドシェアは自分の車があって、免許ではないけれど申請して講習を受けたり、アプリに登録しておけば、そのアプリに「あなたがいまいる場所の近くにお客さんがいる」という通知がくる。「受けます」というボタンを押すと、自分の車にお客様を乗せたり、降ろすことができたりします。

『GO』専用のタクシー車

佐々木)免許の緩和はもちろん大事です。以前だとタクシー運転手になるには「道に詳しくなければならない」という条件がありましたが、いまはカーナビがあるので、そこまで詳しくなくても大丈夫です。実際、都会で普及している『GO』というアプリがありますよね。

飯田)タクシーを呼ぶアプリですね。

佐々木)『GO』で行っている取り組みに、「GO専用のタクシー車」を用意するというものがあります。普通のタクシーでは「ニッポン放送までお願いします」と目的地を言ったら、道を知っていれば「では、内堀通りを行けばいいですね」と言えるのですが、知らないと困るわけではないですか。しかし、「GO専用のタクシー」を呼ぶときは、自分がいまいる場所と同時に、目的地を設定するのです。

飯田)呼んだ時点で。

佐々木)そうすると運転手さんは最初からカーナビを入れられるので、道を知らなくてもカーナビ通りに走れば大丈夫です。道に慣れていない人でも『GO』専用のタクシーであれば対応できる。そういう試みを行おうとしているのです。

飯田)事前にルートがわかっていて、GPSがついていれば、その通りに進んでいるかどうかも常に確認できますよね。

東南アジアでも安心して乗れるアプリ『Grab』

飯田)先日ベトナムに行ったとき、『Grab』というアプリを使ったのですが、ルートが出ていて、その通りに進んでいるかもわかるのです。かつ金額も最初の言い値で決まっているし、カードを使うので現金のやり取りもありません。これなら、どこかに連れて行かれるような心配もない。

佐々木)明朗会計ですよね。昔は東南アジアなどのタクシーに乗ると、普通に走れば10分で着くところを遠回りされ、30分も掛かって高いお金を取られるようなこともありました。しかし、いまはライドシェアのアプリが広がったのでそういう問題も減り、現金でやり取りする必要もない。しかも運転手さんの評価もできるので……。

飯田)お互いに評価できる。お客さんの方も評価されます。

特区的に地域を限定すればいい

佐々木)そう考えたら、タクシーを補完する仕組みとして、とてもいいと思います。タクシー業界は「民業圧迫だ」と大騒ぎしていますが、河野さんは「特区的に地域を限定すればいい」と言っています。

飯田)担い手がいないようなところで。

佐々木)反対している人のなかには、「二種免許を持っていない人の運転は危ないだろう」と言う人もいますが、それを言い出したら「友達の車にも乗れないでしょう」と思いますよね。

「30分待ってもタクシーが来ない地域」など一定の基準を設けてライドシェアを解禁する

佐々木)知り合いの車に乗せてもらうなど、誰でも経験があるわけだから、それが道路運送法の改正で可能になるのはいいことだと思います。河野太郎さんは、無線や電話でタクシーを呼び、「どのぐらいの時間で車が来るか」というような、ある種の基準を設けてはどうかと言っていました。例えば「15分待っても来ない」とか、「30分待っても来ない」など。その平均的な時間を計測し、「30分待っても来ないところに限っては、ライドシェアを解禁する」というような方式がいいのではないかと言っています。

飯田)地域全体の交通を考えなくてはならない。

佐々木)タクシーが少ない土地でも、買い物難民のおじいちゃんやおばあちゃんに買い物してもらうのにも使えるわけで、全国的に広まればメリットがとても大きいと思います。

飯田)タクシーが捕まらないような地方では、既に公共交通機関は採算が取れず、撤退している場合が多いですからね。

佐々木)路線バスも減っています。

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