ジャーナリストの須田慎一郎が1月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2027年の東京-名古屋間の開業が難しくなったリニア中央新幹線について解説した。
川勝静岡県知事はなぜリニア工事に反対するのか
飯田)リニア中央新幹線の建設工事について、JR東海側が「2027年の開業は困難」としています。
須田)最終的に東京-大阪間を2037年に開業するのが当初の計画でした。途中の東京-名古屋間が2027年に開業予定でしたが、おそらく難しい。改めて言うまでもなく、静岡県内の建設工事が川勝平太静岡県知事の妨害……と言うと本人は怒るかも知れませんが、事実上の妨害によって進まない。そこでJR東海サイドが後ろ倒しにしたという状況があります。
飯田)工事が進まず。
須田)静岡県内を流れる大井川は、静岡県内に水を供給する川なのですが、大井川水系の上流に建設工事がぶつかることで水の問題、「水が失われるのではないか」という懸念があり、強く反対していたのです。それに対してJR東海サイドは一昨年(2022年)ぐらいから、「田代ダム」という大井川水系から水を引いて東京電力が管理する水力発電用のダムがあるのですが、東京電力とJR東海が話し合い、「水量が失われた場合には田代ダムの水を戻す」という確約が取れた。そのため、水の問題は解決に向かいつつあったのです。これが昨年(2023年)後半の動きでした。
水の問題から南アルプスの環境保全問題へゴールポストを動かした
須田)ところがそういった状況を受け、川勝知事が「いや、水の問題ではない」とゴールポストを動かしてしまったのです。「南アルプスの環境保全の問題だ」として、静岡県は川勝知事名で環境省に対し、12月5日付で「リニア中央新幹線事業における南アルプスの自然環境保全について」の文書を提出しています。もともと環境保全については国交省のなかで委員会が立ち上げられ、「ほぼ問題ない」という結論が出ていました。しかし、ちゃぶ台返しをするように、環境省に対して「あなたの所管だろう!」などとごり押しした。さらに、申し入れ書の提出をめぐって川勝知事は、静岡県の東京事務所に命じて最初に環境大臣へのアポイント取りをしたのです。知事自身が環境大臣に申し入れをすると。
飯田)それをマスコミに撮らせようとした。
環境省の事務方に対するアポ取りをスズキ丸抱えの国会議員に行わせた川勝知事
須田)ところが、それは前日の12月4日だったのですよ。無理です。
飯田)大臣のスケジュールはいっぱいですよね。
須田)そのため断られたら、川勝知事は何を思ったのか、今度は大岡敏孝衆院議員に環境省の事務方に対するアポ取りを命じたのです。この方はもともと環境副大臣を務めていたのでわからなくもないのですが、辿っていくと浜松市に本社を置き、静岡県政に大きな影響を与えるスズキの社員で、浜松市議、静岡県議を務めていた。そのため、もともとはスズキ丸抱えの国会議員なのです。
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