日米演習で仮想敵国「中国」明示 反応を探るためのシグナル
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ジャーナリストの須田慎一郎が2月5日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。仮想敵国を初めて「中国」と明示した日米の演習について解説した。
自衛隊とアメリカ軍の演習で、初めて仮想敵国に「中国」と明示
自衛隊とアメリカ軍が実施中の最高レベルの演習で、仮想敵国を初めて「中国」と明示したことが2月4日、複数の政府関係者への取材でわかった。演習はコンピューターを使用するシミュレーションで、シナリオの柱は台湾有事。防衛省は特定秘密保護法に基づきシナリオを特定秘密に指定した模様。
新行)仮想敵国を初めて「中国」と明示したと、共同通信が伝えました。日本とアメリカの強い危機感が表れているのでしょうか?
中国がどのような反応を示すかを探るシグナル
須田)今回の演習はコンピューターを使用したシミュレーションであり、動員という形は取っていません。仮想敵国を中国と指定して動員してしまったら、戦争一歩手前の状況になりますから、今回のことは、さほど相手を刺激しないと思います。とは言え、やはり仮想敵国を中国と指名したのは、一段階レベルアップしたのかなとも思います。これは中国に対するシグナルであり、日米、特にアメリカによるシグナルです。これを受けて中国がどんな反応をしてくるのか、探る意図があったのではないでしょうか。
新行)仮想敵国を中国と明示した上で「演習をやっている」という情報を出し、どんな反応が返ってくるかを見るのですか?
須田)台湾有事や台湾に関する軍事作戦に対して、一定程度の歯止めが掛かるのかどうか。それとも、さらにエスカレートさせるのかなど、駆け引きの部分が大きいと思います。
野田政権時代に尖閣諸島を国有化して以降、中国の活動がエスカレート
新行)中国をめぐっては、尖閣諸島周辺の動きも激しくなっています。1月には中国海警局の艦船が、尖閣諸島周辺を飛行する自衛隊機に対し、複数回にわたって退去するよう無線で警告を出してきたそうです。
須田)尖閣諸島が日本固有の領土であることは間違いありません。ただ、いつから中国軍が活動をエスカレートさせたかと考えると、民主党政権時代、野田政権による尖閣の国有化以降なのです。現在、私も取材を進めている最中ですが、国有化するにあたって当時の民主党政権内部でも異論がありました。
新行)民主党政権内でも。
須田)かなり中国を刺激することになるので、国有化はよしとしても、やはり安全保障上、自衛隊の対応も含めてきちんと向き合わなくてはならない。自衛隊の装備を含め、中国の軍事的圧力に対抗できるのかどうか。そこを抜きにして、ただ単純に「国有化した」というだけでは不十分です。
新行)国有化するだけでは。
須田)民主党政権においては、その部分を置き去りにしたまま、流れのなかで国有化を決断した。戦略性がまったくなかったのです。それに対し、自民党に政権が戻ってきたあと慌てて対処を始めたので、どうしても「後手後手」に回っている状況があります。当時の民主党政権を継ぐ立憲民主党も、この部分に関しては協力体制をきちんと敷くべきではないでしょうか。
憲法9条を改正して有事に備える対策を取るべき
新行)現状では軍事的圧力があった場合、日本はどう対応するのでしょうか?
須田)南西諸島を含めた要塞化、あるいは動員についても対策を進めています。ただ、個人的な見解としては、やはり憲法9条を改正して有事に備えるだけの対策を取らないと、自衛隊に大きな負担が掛かります。現状、集団的自衛権の行使はかなりハードルが高いと思います。ですから次の選挙では、その辺りも争点に議論して欲しいです。もちろん、国会のなかでも憲法審査会を含め、きちんと議論していくべきだと思います。
新行)憲法改正については先日、岸田総理も言及していました。
須田)それについては2024年9月の任期までに、一定程度の結果を出すべきでしょう。ひいてはそれが自民党の9月の総裁選にも大きな影響を及ぼすと思います。
新行)補選も絡んできますよね。
須田)これから安全保障政策、ひいては憲法改正の問題も絡めて、政治的に大きな課題になっていくと思います。いまの通常国会においても議論すべきなのですが、野党・立憲民主のスタンスとして、泉代表は提案型を掲げていました。しかし、代表代行に辻元清美さんを充てた人事には少し不安が残りますね。
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