日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が2月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。フィジーで開催された「太平洋・島サミット」の中間閣僚会合について解説した。
上川外務大臣が「太平洋・島サミット」の閣僚会合に出席、海洋安全保障の強化を確認
日本と太平洋の島しょ国・地域による「太平洋・島サミット」の中間閣僚会合が2月12日にフィジーで開かれ、上川外務大臣が出席した。太平洋島しょ国をめぐっては、中国が海洋進出の動きを強めるなか、安全保障などの面から重要視されている。会合では法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化と、各国が団結することの重要性が確認された。
飯田)上川大臣は福島第一原発の処理水の海洋放出について、国際的な安全基準に基づいて実施し、情報提供を続ける方針を説明しました。
この地域がアメリカの同盟国と中国の間で分断されていることを物語る各国・外務大臣の欠席
秋田)閣僚会議ですので、日本から外務大臣が参加したように、本来であれば各国の外務大臣が勢揃いしてもおかしくない会議です。しかし、欠席者がかなりいたようで、そこは注目点だと思います。中国と深い関係を持っているソロモン諸島や、他にも何ヵ国か外務大臣を送っていない国があります。
飯田)ソロモン諸島は外務次官が、キリバスは臨時代理大使が出席しました。
秋田)臨時代理大使ですから、かなり格下を送っています。当然、中国への配慮によるものです。今回の会議では、日本と太平洋の島諸国の結束というより、もはやこの地域がアメリカの同盟国と中国の間で分断されているということがはっきりしたと思います。
アメリカとオーストラリアを分断させてオーストラリアを孤立化させる狙いの中国
飯田)今年(2024年)に入ってからも、ナウルが台湾と断交するなど、中国側に寝返るような国が増えているのでしょうか?
秋田)アメリカでは研究が進んでいますが、中国はなぜ太平洋の島々に接近するのか。旧日本軍がアメリカに戦争を仕掛けてから、「面」でこの地域を獲りに行ったわけです。そのやり方と、中国がこの地域を平時のうちに面で影響下に置こうとすることに関し、類似性を研究する安全保障の専門家が多くいます。
飯田)先の大戦のとき、特に海軍は南洋を獲りたかったし、実際に獲りにいきましたよね。
秋田)オーストラリアの上のガダルカナル島やソロモンなどで、激しい戦闘が起きたわけです。日本軍の狙いは、おそらく中国による現在の地政学的な狙いとも重なります。最大の目的はオーストラリアを孤立させることです。日本軍はアメリカとオーストラリアの分断を目指した。中国も万が一、南シナ海や台湾海峡で紛争になった場合は、オーストラリアの基地を使えなくしようと考えるでしょう。そうなるとアメリカはハワイとグアムからしか向かえないので、かなり動きが制限されます。そういう意味でも、太平洋の島に軍事基地やレーダーなどを置き、軍事化しているという見方がある。私もアメリカの軍事専門家を取材しましたが、そのような見方をしていました。
飯田)オーストラリア北部のダーウィンには、海兵隊がローテーションで来ているので重要ですよね。ダーウィンへ行くことも難しくなるのでしょうか?
秋田)逆にアメリカは、グアムやハワイの基地はミサイルで壊される危険があるので、日本も含め、その場合のバッファーとしてオーストラリアに駐留を始めているのです。そこを分断されてしまうと困ります。
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