テレビ東京・解説委員の山川龍雄が2月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。セキュリティ・クリアランス制度について解説した。
「セキュリティ・クリアランス制度」創設に向けた法案が閣議決定
経済安全保障上、重要な情報にアクセスできる人を国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティ・クリアランス制度」の創設に向けた法案が、2月27日に閣議決定された。信頼性の確認に当たっては本人の同意を前提に、国が家族や犯罪歴などを調査する。
飯田)これも今国会で注目される法案の1つですよね。
山川)セキュリティが厳しいビルに入る入館証のようなものです。信用がある人はいつでもそのビルに入っていいというような形で、入館証をもらいますよね。
セキュリティ上、厳しい世界的な会議で締め出される日本人 ~セキュリティ・クリアランス制度創設で解消へ
山川)実際にセキュリティ上、厳しい会議を行う際に、日本人が締め出されるケースがあります。「ここまではいいけれど、ここから先はセキュリティ・クリアランスの資格がない人たちは出て行ってくれ」という状況が世界各地で起こっている。そこで理不尽な目に遭ったり、ビジネス機会を損失する日本人が多かったのですが、セキュリティ・クリアランス制度があれば解消されるのです。
飯田)国際的な連携や商品、あるいは装備品など、開発にも資するものですか?
山川)いまの日本は残念ながら、「Made in Japan」と言えるような状況ではありません。日本人だけでものづくりを行い、素晴らしいものができるという時代ではなくなっている。どちらかと言うと「Made with Japan」です。日本人も入る形で、外国の人たちと一緒になってつくらないと、コスト的にも性能的にも太刀打ちできません。防衛装備品など経済安保に関わる部分や、半導体もそうですが、いろいろなものが「日本だけでつくる」という状況ではなくなっている。相手から信用され、「この人は秘密を守れる人だ」ということが担保されないと、共同開発もままならないわけです。そこでようやく、こういう制度が出てきた。
人権問題につながる可能性も
飯田)一方で人権の問題もあるようですが、諸外国の例を見ると、しっかり運用している感じですか?
山川)国によって厳しさは違いますが、バックグラウンドチェックで預金状況や借金の有無などの経済的状況、過去に犯罪歴があるか、嘘をつく人かどうかなどをチェックします。日本は制度が設けられると真面目に行う国です。そういう意味では、日本企業のなかでも「ビジネスチャンスにつながるけれど、どこまで自分のプライバシーを見られてしまうのか」と、少し戦々恐々としているところはあります。
バックグラウンドチェックはある程度厳しくやらなければならない
飯田)かつて特定秘密保護法が出たときも、「居酒屋で話ができなくなる」などと言われましたが、結局はそうならなかった。
山川)とは言え、ある程度のバックグラウンドチェックは必要です。海外から見れば「この人は安心できるのか」という部分と裏腹なところがあるので、ある程度は厳しく行わなければいけません。
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