東京都は3月24日、日揮ホールディングスやコスモ石油、レボインターナショナルの3社と連携し、2050年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現を目指して、SAFの原料となる廃食用油の回収キャンペーン「東京 油で空飛ぶ 大作戦~Tokyo Fry to Fly Project~」を展開していくことを発表した。
SAFとは、持続可能な航空燃料のことで、従来の航空燃料と比べてC02排出量を大幅に削減でき、既存の航空機や貯蔵・石油設備などで使用が可能な事もあり、特に調理で使い終わった食用油を原料とする燃料が注目されている。日本政府も2030年に国内SAF10%の供給の目標を設定しており、国産化を進め、SAF自給率を高めていくことが重要となっている。
日揮ホールディングスの西村勇毅氏によると、国内ではSAFの原料となる廃食用油が年間約50万トンも発生し、そのうち事業系40万トンのうち12万トンは海外に輸出され、外国企業がSAFを製造する際に使用している。あとの10万トンは何と家庭系で、そのまま廃棄されているという。事業系食用油の国内資源循環と、家庭系食用油の資源化が課題となっている。
去る2022年3月2日の「SAFの日」に設立した国産SAFの導入・普及を目指す有志団体「ACT FOR SKY」では、加盟各社が実用化に向けた情報交換などを進めており、今回、東京都が行政で初めて加盟し38団体となった。
24日に行われた発表会で東京都の小池百合子知事は、「家庭で天ぷらなどを揚げた後の食用油が飛行機を飛ばすって、すごいことじゃないですかね。それが脱炭素につながっていくことを多くの方に知って頂き、その食用油の回収にご協力頂きたい」と述べた。
SAFをめぐっては、国内初の生産工場が大阪府堺市に建設中で、2025年の生産開始を目指している。
しかし、原料となる使用済みの食用油を各家庭や飲食店などから回収する仕組みは整っていないなどの課題がある。
東京都は今回のキャンペーンを通してマンションやガソリンスタンドなどで回収を進めて行くほか、イベントなどで住民に周知していきたいとしている。