政策アナリストの石川和男が3月30日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に出演。次世代エネルギーとして期待が高まる水素について「水素単体のコストが低くなるのは難しいが、今後導入される炭素賦課金やCO2排出権取引が本格化すれば相対的に安くなる」と指摘した。
燃焼時に CO2を排出しない次世代エネルギーとして注目が集まる水素。政府は2017年に「水素基本戦略」を発表し、2050年までに水素を主なエネルギー源とする社会をつくっていくと意思表明している。身近なところでは、水素と空気中の酸素を「燃料電池」で化学反応させて電気を生み出し、その電気でモーターを回して走行する都営バスが運行されているほか、日本初の本格的な水素インフラが整備された街が東京五輪の選手村跡地に整備されるなど広がりをみせている。
ただ、水素は製造や供給にかかるコストが既存燃料の10倍以上とされ、普及の足かせのひとつとなっている。
この点について、ゲスト出演した国際環境経済研究所主席研究員の塩沢文朗氏は「最終的にはコスト。エネルギーは使ったときにいくらかが一番大事。水素エネルギーは実は効率が悪い。例えば再生可能エネルギーである太陽光から水を電気分解して水素を作り、それをまた燃やして発電して電気にして使う。何回もエネルギーを変換している。つまり、エネルギーの効率としてはよくない。だた、それでも水素エネルギーが魅力的になってくるのは、今後CO2の“排出”にコストがかかるようになるから。カーボンプライスの導入でCO2を排出するとお金がかかってくる。そうすると相対的に水素エネルギーの競争力が上がってくる」と指摘。
石川も「水素単体のコストが低くなるのは難しい。ただ、CO2が出る化石燃料の使用は、今後、日本でも2020年台の後半に炭素賦課金、言ってみれば「炭素税」のようなものが導入される。水素はCO2を出さないクリーンなエネルギーとして、化石燃料と比べて相対的に安くなる。ただ、日本国内において製造過程でもCO2を出さない「グリーン水素」を作るには、太陽光や風力といった再生可能エネルギーが絶対的に足りない。水素は輸入エネルギーにならざるを得ないこともあわせて知っておかなければならない」と述べた。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
日ごろ、テレビや新聞などで報じられることが少ない専門家ならではの視点やデータを駆使して、歪んだ情報を正し、あなたのリテラシー向上をお手伝いします。
※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』