政策アナリストの石川和男が3月9日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のエネルギーリテラシー」に出演。日本国内の原子力発電所で出た使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを、海外へ搬出してリサイクル燃料として処理し、再び国内の原発へ持ち帰って再利用している現状について「日本のように資源を各国から持ってこないといけないような国は、リサイクルという手段で自国の中で燃料を調達する比率を高める政策をあらためて進めていくことが重要だ」と指摘した。
大手電力会社でつくる電気事業連合会は2月16日、国内の原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムについて、現在フランスで保管されている各電力会社の保有分の一部をリサイクル核燃料に加工して、九州電力と四国電力の原発で再利用する計画を公表した。
プルトニウムは核兵器の原料にもなることから、電力各社はイギリスやフランスに送り、核燃料に加工しなおした上で国内の原発で再利用する「プルサーマル発電」を進め、保有量の削減を図っている。
番組ではNSRA原子力安全研究協会理事の山口彰氏をゲストに迎え、なぜ核燃料へのリサイクルを日本国内でできないのかなどについて議論した。
山口氏は「実は日本原子力研究開発機構が再処理工場を持っていて、ずっとやっていた。でもそこは研究施設で、発電所で出てくる使用済み燃料は扱えない。そこで青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場で再処理、核燃料サイクルができれば、わざわざフランスに持っていかなくてもよいはずが、まだ工場が竣工していない。竣工するまでの間、仕方ないのでイギリスとフランスに燃料の再処理を委託している」と解説。
石川は「六ヶ所村の再処理工場には何度も足を運んでいるが、工場の技術者や経済産業省の担当者からは『竣工は遅れているが技術的な実証試験は終わっていて、県も村も早く始めたいと言っているが、原子力規制委員会の規制が厳しすぎてできやしない』と聞いている」と明かした。
これについて山口氏は「規制が厳しいのはいいこと。安全を確保するために頑張ってやってくれている」と前置きしたうえで、「再処理工場に合った規制をすべき。原子炉と違って、炉心があって発電しているわけではない。そんなに大きなエネルギーは出ない。ところが今の規制当局は、原子炉でやっている安全規制を再処理工場にも当てはめている。世界の考え方は、その施設の特徴をちゃんとみて、リスクがどれくらい、どこにあるか、どう安全確保すべきか。施設に応じた規制をしようという考え方だ」と指摘。
石川も「火力は二酸化炭素を出しておわり。原子力は燃料をリサイクルできる。日本のように資源を各国から持ってこないといけないような国は、リサイクルという手段で自国の中で燃料を調達する比率を高める政策をあらためて進めていくことが重要だ」と述べた。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
日ごろ、テレビや新聞などで報じられることが少ない専門家ならではの視点やデータを駆使して、歪んだ情報を正し、あなたのリテラシー向上をお手伝いします。
※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』